余談ながら、ポップミュージックの世界に、それまで近代美術で使われてきた「コラボレーション」という概念を初めて取り入れたのが、そちら方面の教育も受けていたイーノであり、このFripp&Enoはその最初のコラボレーションだと思います。S&GとかCSN&Yとかありますけどこれらはあくまでもバンドですし。
タイトル「Equatorial Stars」を見ると第2弾「Evening Star」路線かと思いましたが、ギターの多重録音によってキラキラした印象を与えるあちらとは少々異なる感触です。
一曲目でこのコラボレーションの基本的路線が大体示されています。フリップの作った長短様々なループをバックに、フリップが伸びやか且つ自由にギターのソロを緩やかに繰り広げる、そんな感じです。フリップのソロは流石、単調にならず常に異なる旋律を奏で続け、曲に良い緊張感を与えています。
そんなわけで今回のコラボレーション、両者とも個人的には「枯れた人」との印象があってあまり期待していなかったのですが、なかなかの成功作だと思います。
1975年のEvening Star以来
30年ぶりとなる二人の共演である。
「赤道の星」と名付けられた本作。
驚くほど肩の力の入っていない
それでいて素晴らしく美しい作品だ。
実験的な試みを繰り返してきた二人が
そのプレイの質で描き出す
壮大なサウンド・スケープ。
ナイーブかつクリア、
伸びやかななトーンをつま弾く
フリップのギター。
静寂からやってくる
イーノが操るアンビエントなエレメンツ。
それらが高次元で出偶い
壮大な天球に光を放つ。
その光は1等星や2等星だけではなく
3等星から5等星まであり
ほのかに光りつつ揺らぎ
天空のハーモニーを奏でる。
まるで闇の中で
天球の中間に位置し
その光の一つひとつを愛でるかのようだ。
そのスピリチュアルなアプローチは
天を抜け、
神話の世界に
繋がっているような想いがする。