むしろ、幼い頃、少し怖い昔話や民話を聞いたときに感じたような、かすかな寒気を背筋に感じます。
岡山という土地柄なのでしょうか、随筆の中にはお狐様や死神、妖怪小豆洗いにお遍路の途中で後をつけてくるお大師様など、この世のものではない存在がちらほらと登場し、その結果、この世とあの世、そして、この世と異界と境目が非常に希薄であるような印象を受けます。
芥川龍之介をして「君は怖いよ」と言わしめた、内田百閒のルーツを垣間見ることができる貴重な随筆集、ぜひ読んでみてください!