何故?
★☆☆☆☆
乙川のファンで、出る本は必ず買って読んでいる。次の作品を読めるのが楽しみで、いつも待ち続けている。なのに、自選短編集?書き下ろし作品が一編?その一編を、でも是非読みたいと思う僕のような読者は、これを買わなくてはならない?そうしてこの本を買わせる?
デビュー十年の記念というが、選集を出すには早過ぎるのではないか。
彼の選集を買おうと思う者なら、既に収録の作品の多くを読んでいるだろう。彼の本は、まだそれほど多くは出ていないのだから。
商売気がちらついて、読者を大事にしていない。そう思う。
彼の新しい本が出た、と喜んだ私は、少なくとも、いろいろな意味で、出版社にも作者にもがっかりした。
彼の短編は、どれもとても良い。深い味わいに満ちている。だから、一冊読んだらきっと他のものを更に読みたくなります。だから、買うなら他の本がいいです。どれを読んでも、「あ、これは読んだことがある。」という作品が混じっていては、ちょっと悲しくなりますから。