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自叙伝 (1) (岩波文庫)

価格: ¥22
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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類稀な人物の自叙伝 ★★★★★
河上肇は、明治12年にその人生の一歩を始め、明治維新以来の大日本帝国の終りと共にその生涯を閉じた。多くの資料と33巻にも亘る全集を残し、終生、皆が平等に豊かな日本の社会を夢想して、科学的社会主義にその生涯を傾けて、その夢が破れつつある1946年に死去した。
この自叙伝は、文庫本で5巻にも亘る膨大なものである。この様な人物は、多くの特異な人材を輩出した日本国に於いても珍しい。投稿者は、寿岳文章氏の河上論よりその人となりの側面を知った。途轍もない人物、丸でドンキホーテの様な、また、キリストの様なその人物像を知る。多くの苦難の中で、偽装転向さえしなかった、武士とはこの様な人を言う文字であろう。
自伝は読むにとても長いが、河上のその性格と共に彼が生きた時代を浮かび上がらせる。
現在の日本の若い人々が、、自分たちの過去に何があり、その時代の人々がどの様に生きたかを知るために読んで見る、実に重要な機会をこの自叙伝は提供していると思う。
衝撃と感動の河上肇 ★★★★★
岩波文庫として出版されている5巻本の一冊である。あるきっかけで半世紀以上も前に書かれたこの著作を手にしたが、ここ数年間読了した著作の中では、その衝撃度と感動において本書に勝るものはなかったように思う。マルクス主義こそ人々を艱難辛苦から救済する唯一無二の真正科学であると信じ、物心のすべてを捧げてプロレタリアート革命成就のために孤軍奮闘し、夢破れた河上肇の自叙伝である。いや孤軍奮闘ではなかった。愚痴ひとつこぼさず彼の活動を献身的に支えた河上夫人、その生き方もまことに感動的である。終戦の翌年に惜しくも逝去された河上氏がさらに20年命を長らえ、戦後日本の変貌を目の当たりにする機会に恵まれたら、ご自身の人生をどのように総括されたであろうか。
日本を代表する社会科学者 ★★★★★
河上は、日本を代表する社会科学の一人。わが国におけるマルクス主義、マルクス経済学の導入にも重要な役割を果たした。獄中体験をも持つ河上の自伝は詳細きわまるもので、興味が尽きない。河上は、本人が認めているように、あることを了解したり理解することはけっして早くはなかったが、自分が分かったもの、共感したものは絶対に手放さなかった。ここに、河上の独自性がある。近代経済学の導入に熱心だった福田徳三と比べると、その学風は対照的だ。西欧の学風にきわめて敏感で消化も早かった福田と、納得したもののみを大切にした河上、日本での社会科学の受容を考える上で、示唆的な存在である。