「なぜ、3巻だけ評価が低いか」
★★★★☆
このガダラの豚という作品。
作者中島らも氏の想像力と知識、そして面白い人間描写によって、
あっという間に1、2巻を読み終えてしまった。
そこには、日本人の知らないアフリカの現状やカルチャーショックなど
"リアル"を突きつけられる面白さがあった。
しかしこの最終章ではどうだろう。
悪く簡潔に言うならば、「展開させすぎてラストでうまく回収できなかった」ように見える。
とくに終盤は、(面白いのは面白いのだが、)あまりにもお粗末な終わらせ方ではないだろうか。
個人的にはもっと、敵との攻防が一進一退を繰り返すようなハラハラ感や、
キーマンが展開を一転させるような場面があってよかったと思う。
1,2巻が最高に楽しかっただけに、すこーし残念かなと言える。
”豚”は何だったのか
★★★★★
バキリは言う。『人間てなものも、神の目から見ればただの蟻さ』
本書のタイトルのエピソードになぞらえると、
バキリが悪霊につかれた人で、犠牲者は豚だったのだろうか。
では大生部は、、キリストなのか?
どちらかというと、犠牲者のほうが善良に見えるし、
大生部は優秀な学者であるもののアル中で、
手放しに”立派な人”といえる訳ではないように見える。
読み終えて2週間ぐらい経つが、ふと気づくとこんな事を考えている。
久しぶりに、本棚でホコリをかぶっている聖書を、読んでみる気になった。
そういえば新約聖書に、こんな聖句があった。
『この世が自分の知恵によって神を知ることがないのは、神の知恵による』
本書を通して中島らもさんが何と闘っていたのか、
腹に落とすには、もうすこし時間が掛かりそうだ。
少し収集がつかなくなってきた巻
★★★★☆
文句なしに面白い、3巻組の長編ミステリー。
参考文献はたっぷり42冊。 そのエッセンスを
著者が紡ぐことで、ここまで面白い作品となった。
第1巻 日本。マジックと超能力、そして宗教。
第2巻 ケニア。広大な大地と呪術、真の敵現る。
第3巻 日本。繰り広げられる果てしない戦い。
ちょっと収拾がつかなくなってきた感じもするが、
本当に最後の最後まで読者に結末を想像させない。
これまでの2巻は、膨大な参考文献に支えられた、
微に入り細に入った描写が生み出すリアルさで、
読者を没頭させてきたが、ちょっと趣向が変わり
かなり血生臭い描写が多くなってくる。
この描写が苦手な人は居るだろう、でもこの巻まで
来たら誰も本書を置いて逃げることはできないな。
読者を圧倒する膨大な知識を骨として、その時々の
話題と風刺を散りばめながら紡がれたのが本作。
間違いなく楽しめる作品であることは折り紙付き!
それでもやっぱり★5つ
★★★★★
3巻である本書を要約するなら『フ○テレビ危機一髪』 舞台は日本にとって返し、バキリの呪術の恐ろしさが炸裂……って……え……? ええええええ? そうなの? そうだったの? と主人公がいきなり突然以下ネタバレにつき省略。というかなぜ最初から以下略。
それでもテレビ局の薀蓄から何から知らない世界の嘘か本当か分からない、でも妙にリアリティのあるトリビアの数々が興味深い。
今まではハリウッド娯楽大作だったのがいきなりハリボテ怪獣映画レベルにまでトーンダウンしてしまう感は否めないけれども、これまでやられっぱなしだった主人公側の巻き返しの爽快感はたまらない。とにかくまったく先が読めずに最後まで楽しめました。落ち着いて考えるとものすごく強引というか豪快というか、アレなのかもしれませんけど、初読後の感想は爽快でした。
個人的には2巻>1巻>>>3巻の順で好きです。ああ、アフリカ行きたいなぁ…
1、2巻のおもしろさが台無しに・・・
★★★☆☆
3巻は最悪。読まない方がいい。
これまでの2巻が台無しになるから。
アフリカ帰還から7ヶ月後、アフリカの呪術師が日本に復讐に来る話で、
1、2巻のような確固としたテーマ性がなく、
やたらめったら人を殺し、大掛かりなトリックでわあわあ騒ぐだけの、
くだらんアメリカ映画のようで、がっかりした。
なんでこんないらんもんつけくわえたんだろうか。
筆者の意図がわからない。
しかもここで思い出したかのように、
1巻の導入部分でさらっと出てきた話をとってつけたようにもってくるんだけど、
それもほとんど重要性を持たずに終わってしまうから、
余計なんのこっちゃってことになる。