新井英樹の力
★★★☆☆
新井英樹は誠実だ。
だからこそ近年、ストーリーが長引く。足踏みを始める。
だから何だ?
嘘や安易なハッピー・アンハッピーエンド、持ってこないこの人は
見上げるくらい凄い男だ。
「カイジ」のように設定を架空化しすぎると、シリアスな気がして実は
例え話になって読者は直接関係がない、と安心出来てしまう気がする。
だから人気が出る。映画にもなる。
映画にもドラマにも使われない新井英樹は、
いつも現実と、フィクションという手段を使って
せめぎあってる。
だから誠実だと思う。美しいと思う。
こんな人が存在すること自体がちょっとした救いだ。
裁かれない犯罪、被害者には憎しみが残る。
★★★★★
理不尽な現代、世の中には憎しみが溢れている。この巻は、米国の9.11テロ事件は、国内でも起こり得るっていう怖い話です。政府が弱者を切り捨てるなら、命を懸けて一矢報いるまで。
新キャラ登場&新展開の4巻 つづきが楽しみ
★★★★☆
新井英樹は省略がウマい。
雪印の牛肉偽装を告発した西宮冷蔵がモデルのストーリーは、3巻の最後で最高潮に達し、4巻最初の5,6ページで一気に収束。
収束までの概要は、劇中の新聞やニュースの報道、登場人物が話す噂話などで描き、流れを読者に想像させる手法だ。
これは読者にとっても作者にとっても利益がある。
読者はキーチの次なる活躍を読めるし、新井英樹は新しいストーリーに掛ける時間を多く取れる。
読者が想像できる部分は、読者にやらせて、新井英樹にしかできない部分にどんどん力を入れてほしいと思う。
『キーチVS』第4巻には新キャラが登場してストーリーは新展開。
とある劇団のリーダー、田中あやとキーチの対決。
ひき逃げ、逃げ得、国の利益と個人の命はどっちが大事か?といった問題が、これからのストーリーに絡みそう。
早く5巻が読みたい!