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遺留品 (講談社文庫)

価格: ¥860
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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   検屍官ケイ・スカーペッタシリーズ、第3弾。事件は、仲睦まじいティーンエイジャーのカップルばかりが狙われる連続殺人。森奥深くで殺され、遺体発見が遅れる。白骨化した状態から死因をつきとめるのは不可能に近い。これまで2年半の間に4組ものカップルが被害に遭っているというのに、捜査は手詰まりのまま。ケイのいらだちは募っていた。そこへまたも若いカップルの失踪事件が起きる。失踪した女の子の母親はドラッグ・ツァーの異名を持ち、全米麻薬対策委員長として政界にもつながりの深い大物パット・ハービー。FBIが介入して、何やらものものしい雰囲気の中、わが娘の事件に狂乱するパットはFBIの隠蔽(いんぺい)工作を主張して全面対決の構えだ。事件はマスコミを巻き込んでの大騒動と化し、ケイは渦中の人となって巻き込まれていく。

   FBIの旧友ベントン・ウェズリーからも情報をもらえず孤立したケイは、わずかな遺留品と骨に残ったかすかな傷を頼りに独自捜査に乗り出す。今回のパートナーはおなじみ、殺人課刑事ピート・マリーノだ。裏切りの疑惑に揺れるケイを静かに支えるマリーノ。しかしマリーノも私生活の乱れをケイに支えてもらっているという持ちつ持たれつの良好な関係が頼もしい。

   ケイの最愛の恋人マーク・ジェームズも登場してオールキャストといった豪華さ。ますます人情味を増したケイの魅力が満載の作品。(木村朗子)

スピード感 ★★★★★
前2作に比べ、いきなり「うまくなった!?」と感じれる作品。
コーンウェル節が始まった!!という感じ。

犯人のめぼしがつき、そのバック・グラウンドがはっきりすると、
とてもドキドキする。

相変わらず、ストレスや睡眠不足でイライラしているケイだが、
マリーノとのコンビとしての息も合いはじめる。

この作品を通して、不思議と、すごく力強く感じることは、
やはりタバコは悪なのか!?ということ。
それにしても、そこまで悪なのか!?と。

ラスト近くのアビー、
彼女には幸せになって欲しかったのに、本当に残念だ。
俄か作家よりは錬れた文章だが ★★★☆☆
医学ミステリーでも、医学知識を縦横に駆使して筋を展開させ、それ自体が面白さとなっているロビンクックやマイケルパーマーと異なり、何か借り物のぎこちない医学を背景に、寧ろ人間関係を浮き彫りにしながら老練に筋をすすめるコーンウェルの特徴がでています。あえてタバコを吸い死体を扱う美女医と、些か現実とは正反対の設定をしながらも、実は現実に対するアンチテーゼ、現実に対する強烈な皮肉ともとれます。どんでん返しも、些か大芝居ぽい気がしますが、それでも頭を使わず楽しめる、寧ろ古典的ともいえる医学サスペンスです。英語は平易だが、前述の二人よりはこみいっているかな?
シャーロック・ホームズ以来ハマッタぞ!! ★★★★★
パトリシア・コーンウェルの女性検死官ケイ・スカーペッター全11巻は、電子辞書片手に洋書で読みました。
死体農場は和訳でも読んでみましたが、どうしても翻訳者と私の持つケイのイメージが微妙に違うのが気になってしまって。

このシリーズはそれぞれの猟奇殺人事件解決への経過のみならず、ケイ、マーク、ウェーズリー、ピート、ルーシーの恋愛をも含めた人間模様からも目が離せません。できれば1巻から順に読まれることをお勧めします。

オーディオ・テープはこのケイト・バートンの声が1番ケイの声にマッチしているようで好きです。ピートの訛った文法的に変な英語も多民族国家アメリカの空気を感じるし、ローズのような年配女性の弱々しい声も味わい深い。
中高生の頃読んだシャーロック・ホームズ以来ハマッタぞ!!!

本格的推理小説 ★★★★★
女性検死官「私」を主人公に、中年の警部と絶好のコンビを組ませ残忍な難事件を次々に解決していくシリーズものの一編であるが、この作者のどれを読んでもいつも一気呵成に読まされてしまう。この不思議な面白さは多分、作中の『会話』の上手さと、人物のその時々の感情を実に素直に吐露させる技術のせいかもしれない。推理小説ファンとしては、我が国にも、とかく国民性といわれる“照れ屋”性分をかなぐりすてた本物の推理作家の出現が待ち遠しい。コーンウェルは読後、いつも私にそう思わせる作家だ!
読者が容疑者を挙げる閑がない ★★★★☆
米国でシリアル・キラーは実際にいるし、それを題材にした本も数多く出ている。その中でも、この本は殺人者にではなく、その周りの人々にぴったりと焦点が合っていると思う。

コーンウェルのうまさは、犯人を本のどこかに登場させておきながら、最後になるまで読者に分からせないところだ。それは、あらゆる問題がケイにせまるため、怪しい人のことを忘れてケイの人生を読み進んでしまうから。

今回は、「羊たちの沈黙」のように、女性政治家の娘がいなくなることにより、ケイにも政治の圧力がかかる。こんなことに気を取られているうちに、あっという間のクライマックスで、容疑者を読者として挙げる閑がない。