FBIの旧友ベントン・ウェズリーからも情報をもらえず孤立したケイは、わずかな遺留品と骨に残ったかすかな傷を頼りに独自捜査に乗り出す。今回のパートナーはおなじみ、殺人課刑事ピート・マリーノだ。裏切りの疑惑に揺れるケイを静かに支えるマリーノ。しかしマリーノも私生活の乱れをケイに支えてもらっているという持ちつ持たれつの良好な関係が頼もしい。
ケイの最愛の恋人マーク・ジェームズも登場してオールキャストといった豪華さ。ますます人情味を増したケイの魅力が満載の作品。(木村朗子)
このシリーズはそれぞれの猟奇殺人事件解決への経過のみならず、ケイ、マーク、ウェーズリー、ピート、ルーシーの恋愛をも含めた人間模様からも目が離せません。できれば1巻から順に読まれることをお勧めします。
オーディオ・テープはこのケイト・バートンの声が1番ケイの声にマッチしているようで好きです。ピートの訛った文法的に変な英語も多民族国家アメリカの空気を感じるし、ローズのような年配女性の弱々しい声も味わい深い。
中高生の頃読んだシャーロック・ホームズ以来ハマッタぞ!!!
コーンウェルのうまさは、犯人を本のどこかに登場させておきながら、最後になるまで読者に分からせないところだ。それは、あらゆる問題がケイにせまるため、怪しい人のことを忘れてケイの人生を読み進んでしまうから。
今回は、「羊たちの沈黙」のように、女性政治家の娘がいなくなることにより、ケイにも政治の圧力がかかる。こんなことに気を取られているうちに、あっという間のクライマックスで、容疑者を読者として挙げる閑がない。