てとりあしとりの入門と考えなければ、よい論集
★★★★★
本書にてここ10年ぐらいのハリウッド近作映画を題材にした映画論を垣間見ることができます。
多くの章にて興味深い論述が展開されており、現実の世相を反映した価値の変遷が映画に影響してゆく様やフィルムにとどまらない映画のあり方にまで言及した議論は「現代」ならではといったところでしょうか。『ワールド・トレード・センター』は未見でしたが本書を機に興味深く鑑賞することができました。
索引やブックガイド、用語集が一通り完備されているので資料として有用なのはよいですが、「入門」と銘打つには編者の力量に少々難ありといえます。
本書は基本的に論集であって、単体で完結する入門テキストとしての構造を備えていないからです。「講義・現代ハリウッド映画論」あたりが実情に近いタイトルではないかと。
深く分かり易い
★★★★☆
一章ごとのページ量・内容量(参照作品数など)が"入門"としては適切である。
しかし内容は"入門"とはいえ奥深い。
「映画」という芸術ジャンルの定義や行く末を、映画作品の物語を通して考察している第三章はことばは易しいながらもかなり鋭い点を付いている。
専門用語については太字になっているものの(一部)、説明は特にないので読みづらい点もあるかもしれない。
しかし全体的に、初心者から上級者まで読み応えのある一冊であるのは間違いないだろう。
幼稚な本
★★☆☆☆
近年の映画論の中でも、かなり見せかけ、内容は、すかすか、
「入門」とは言え、あまりに視点が稚拙と言う以上に幼稚な印象です。
特に「スパイダーマン」「ファイトクラブ」等は噴飯ものでした。
唯一、「ワールド・トレード・センター」の捉え方は興味深いものが
ありましたが、一つ確実に言えるのは、普通に映画を見ている人なら、
この本よりましな事は多少とも考えているだろうという事です。
観客の立場から見ても、著者の年齢はさほど年とは思えないのですが、
いくら何でもその議論は古すぎます。