『All that you can't leave behind』とはCDの表面に刻印された2人の姿なんだなと思う。
U2は、ロック・バンドとしてのアイデンティティーを徹底的に追求し、このアルバムでは、4人で作り出すシンプルなサウンドを甦らせている。①ビューティフル・デイは勿論だが、④ウォーク・オン、⑧ピース・オン・アースなど心臓を鷲掴みされるような名曲が産み出されている。20年間ひたすらに、ロックを歌いつづけ、世界中にメッセージを発してきた彼らの偉業にただ敬服するのみ。ロック・ファンには、是非ともお薦めのアルバム!
90年代など、何度か方向転換を行ったこともあったがU2の持つ音のすばらしさはバンド結成以来健在であり、数十年以上たった今も尚成長し続けている。U2という音にどんな横のつながりがあるのか詳しいことはわからないが、確実に縦の方向に上へ上へと変化しているバンドだろう。
90年代の雰囲気になれた人なら最初はこのアルバムを聴くと違和感を覚えるかも知れないし失望するかもしれない。しかし一週間も聴いている㡊??それはどうでもよくなってくる。80年代の音を聴きこんでいる人なら従来の経験を生かし必要十分条件を備えた上でさらに昇華した音に感動するだろう。
本人たちはロックと言うかも知れないが、ロックやポップという枠を越えて独自のサウンドを形成している。U2は現在進行形で行進中なのである。U2が好きな人なら問題ないが、一度離れたという人でもこれを買って損することはないと思う。