ユニセフのトットちゃん
★★★★★
第一級の現場ルポでありながら、楽しく読める希有な本でした。
書名から軽くて明るいエッセイ集を想像していたら、見事に裏切られます。
ユニセフ親善大使として見聞きした深刻な世界各地の状況。
テレビ女優第一号だからこそ知っている裏話。
シリアスな話題と、思わず笑ってしまう話題を自在に行き来する構成で、飽きません。
国際機関の援助の現場の様子、そこで見る子ども達がおかれた苛烈な環境を知る第一歩として最適。
一方で、サザビーのオークションやテレビドラマの裏側など、セレブな一面をかいま見みたい人にもお薦め。
そして、世のビジネスマンにも、日経新聞だけじゃなく、この本を読んで頂きたいです。
涙が出そうになる位悲しい話の間に、自ら体験したお金持ちの世界の話が出てくる巧みな構成。
どちらも興味深い内容でありつつ、ふと、その違いに気が付かされます。
そのとき、より一層、ユニセフの活動について、子どもたちについて考えることになります。
黒柳徹子さんは、自らにピエロ的な役割を持たせながら、しっかりと、わかりやすくメッセージを送ってくださいます。
つくづく、才能豊かな方なのですね。出版から時間は経過してますが、今でも、色あせない魅力ある一冊。
軽妙で、真剣で、滑稽で、深刻なエッセイ
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全般的に黒柳さんの絶妙なやりとりに笑わされ涙する内容ですが、あまり伝わってこない、アフリカの中でもとりわけ深刻な国についての現状を知る助けともなる一冊。
鼻の穴に一円玉を入れようとするバカバカしい話やオークションで大騒ぎする微笑ましい話も満載な反面、実際に足を運ばれた、アフリカの中でもかなり深刻な貧困や構造的暴力の存在するソマリアやシエラレオネでの話。FGM(アフリカ中央部で蔓延する女性性器切除の悪習)や少年兵や10歳からレイプされ続けた少女や児童労働させられている少年少女の実情を、実際の彼らへの聞き取りをもとに真摯に伝える一面もあります。
黒柳徹子さんのエッセイストとしての魅力については言うまでも無いけれど、まったくお変わり無く魅力を維持されていることに驚かされました。
トットワールドへいこう!!
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黒柳徹子さんは永遠のトットちゃんだと思います。
ユニセフの事、昔の思い出、最近の出来事についてが、トット風の好奇心と素直な心によって書かれています。
特に、子供たちを見る目がとても素敵で感動です。
黒柳さんの文章は、なにげないようですが読む人をひきつけるなんともいえないものがあります。
トットちゃんのような心でいれば、どんな出来事もでも不思議な国の入り口になるんだなと思いながら、大笑いしたり、泣いたりしながら読みました。