インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

出家とその弟子 (新潮文庫)

価格: ¥497
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
Amazon.co.jpで確認
献辞とエピグラフを省略するのはいただけません ★☆☆☆☆
この本の初版には、
「此の戯曲を信心深きわが叔母上にささぐ」
という献辞と
「極重悪人唯稱佛。我亦在彼攝取中。
 煩惱障眼雖不見。大悲無倦常照我。
             (正信念佛偈)」
というエピグラフがあったんですよ。
国立国会図書館近代デジタルライブラリーのURL。
http://kindai.ndl.go.jp/BIImgFrame.php?JP_NUM=42021353&VOL_NUM=00000&KOMA=2&ITYPE=0
それを省略するのはいただけません。同じ本の岩波文庫版には収録されています。
評価を低くしたのは、献辞とエピグラフを省略した新潮文庫の編集姿勢への批判としてです。
いつの時代も普遍の青春 ★★★★★
親鸞とその弟子を題材とした戯曲ですが、基本的には作者である倉田百三の青春の悩みや苦悩を弟子の言葉として親鸞に告げ、それに対しての解決策を親鸞の口を借りて解決しているような感じを受けました。
作品の柱は宗教的な内容ではありますが、信仰心が全く内私にも素直に入ってきました。それは作者である倉田百三が宗教家でもなければ、宗教心が強いわけでもないことから来るものだと思います。初出版から80年以上が経過した本書が読み継がれているのは、それだけいつの時代も若者の青春の悩みが尽きないからなのでしょう。
名作 ★★★★★
歎異抄をもとに作られた戯曲。
五木寛之の本を読んで知りました。

なぜもっと早く出会わなかったのかと
思うくらいの名作です。

他力本願と念仏の意味するところを
自分の生き方にも取り入れてみたいと
思いました。
「他力」の果ての「自力」。もしくは、「他力」と「自力」の彼岸について。 ★★★★☆
 キリスト教の影響を受けつつ、「歎異抄」の教えを物語として説いた作品。かつては「善の研究」「三太郎の日記」と並ぶ旧制高校生の必読の書であり、この本を読むのがインテリ青年の一つのスタイルだったという。

 「他力」思想を先鋭化して念仏主義を広めた法然・親鸞の教えは、確かにルターの聖書運動に共通した近世的宗教復興思想である。一方で、釈尊やナザレのイエスの言葉がかなりの「自力」思想であったにも関わらず、世界宗教としてこれらの教えが受け入れられる過程で、「他力」の思想に摩り替わっていった過程が僕は興味深く思えて、この作品を読んだ。

 この本を通して、「他力」を徹底すること自体が、「他者に対する絶対的な赦し」を行うことを経て、「自力」に似た精神的修練を求めることを知った。仏教伝播の東の果てに至り、釈尊の教えは変形・転倒されながらも、また逆にその転倒が洗練のレベルまで高まったと言えるのかもしれない。
 
 なお、作者自身は西田哲学の影響の下、20代でこの著を表した後、様々な思想遍歴と女性問題を経て、最後は超国家主義に辿り着いた。また、帝劇で上演されたこの戯曲で、遊女「かえで」を演じたのが、これまた激しい男性遍歴と共産主義への傾倒でソ連に亡命して現地で客死した岡田嘉子であったと倉田は随想している(「「出家とその弟子」の追憶」参照)。こういった伝記的事実と併せて読むと、より興味深い作品である。

 
青春文学の名作 ★★★★☆
「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」、の言葉で有名な歎異抄を下敷きにして、老境の親鸞と息子の善鸞及び唯円の二人の弟子との問答を軸に戯曲仕立てにしたもの。宗教と恋愛(を中心とする煩悩)の相克というテーマを情熱的に描いた作品としてロングセラーを誇る。

本書のテーマは若い頃の親鸞が悩んだテーマでもある。本書での親鸞は既に他力本願の悟りを開いており、祈りの重要性を静かに教え諭す。そして、全てを赦す。唯円は純粋で、一方で純愛に悩みながら、信仰に対してもひたむきである。それだけに、悩みも深い。善鸞は親鸞の子でありながら、世俗の誘惑に溺れ信仰を拒否する。宗教に対して一般に邪魔になると言われる、恋愛、性欲、世俗の誘惑。これらに対して、親鸞はありのままに受け止めるよう諭す。宗教を、一般の人間が抱える夢と置き換えれば、本書のテーマは宗教に限らず普遍的なテーマになる。また、唯円、善鸞を自らに置き換えれば、青春時代誰もが抱える問題であろう。レビュー・タイトルで宗教文学と書かず、敢えて青春小説と書いた所以である。

面白い事に、作者は仏教徒ではなかったそうである。また、本書執筆時は病身だったという。病気の時に感じる体の熱さが、作品から感じられる熱気に繋がっていると感じるのは私だけだろうか。恋愛、性欲など青春期に誰もが悩む問題を率直に投げ出し、それに対する究極の赦しを示した青春小説の名作。