インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

砂漠の塩 (新潮文庫)

価格: ¥580
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
Amazon.co.jpで確認
砂漠の塩は涸れた涙の味 ★★★★☆
この作品はミステリではなく、恋愛小説である。同時に、海外旅行がまだ珍しかった時代の、中東旅行案内のようにもなっているし、アラブやイスラムの考え方を、良い面、悪い面からバランスよく的確に観察してもいて、紀行文としても面白く読める。不倫の恋人との愛に殉じたいと覚悟し、心から願った不貞の妻・泰子にとって、優しく善良な夫・保雄こそが実は自らを赦し追い求めてくれる「神」のように心の支えとなっていた、という苦さ。旧約聖書の十戒およびそこから派生したコーランは、男の浮気は体の浮気と認めても(また古代の一夫多妻制から)、人妻の浮気は絶対に許さない。日本社会の束縛から逃避行した中東で、人類の起源地ならではの社会と内面両方からの呵責ないモラルの束縛を目にする二人。
砂漠が人心に与える様々な影響を的確にとらえている箇所が多く、砂漠好きとしては楽しく読めた。
タイトルの「砂漠の塩」は、罪の意識にさいなまれ真剣な恋に落命した二人と哀れな夫と三人の涙が、やがて時間という虚無の砂にさらされ乾いていく様子を想像させられる、見事な結末であった。
愛について考えさせられる作品 ★★★★☆
前半部分は、日本人にとって海外旅行が今ほど一般的でなかった時代の、中東各国の旅行記のような描写で多少退屈であったが、後半部分は急展開もあり、最後には男女間における愛とは何なのであろうかと深く考えさせられる内容であった。様々なテーマについて作品を出している松本清張氏はやはりすごいと思う。
「愛」について考えたいときに ★★★★☆
第5回婦人公論読者賞(昭和41年)受賞作品。配偶者のいる男女が、中東の砂漠までお互いの愛を確かめあうために逃避行する話です。登場人物たちの辿る人生のその結末は「救いのない」もので「暗い」。砂漠を舞台にしているところ、互いの愛を信じている間柄でも伝わらない思いがあることを痛感させられるところなど、「シェルタリング・スカイ」(ポール・ボウルズ)を彷彿とさせ、読後感も似ています。また、中東の歴史や旅行を計画されている場合には、彼の地との文化の違いや歴史などを知るのに役立つ。