80年代後半から90年代前半の青春を思い出す
★★★★★
いま40代前半、30代後半の人にとっては、たまらなく懐かしく、キラキラした青春時代を思い出させてくれます。何度読み返しても色あせないあの頃に戻れる鷺沢作品ならではの筆致がお勧めです。
「太陽の季節」を思い出すなあ
★★★★☆
「かっこいい少年少女たち」というからには、小学生か中学生あたりが登場人物の中心になるのかと思ったら、なんと大学生たちだ。
「キッズ」と定義された登場する大学生たちのなんと裕福なことか!
石原慎太郎の「太陽の季節」を思い出した貧乏な地方暮らしのおっさん・とほなのです。
「太陽の季節」同様、親たちはみんな金持ちで、しかも大概がそこそこの大学の学生さんたちである。
そんなお坊ちゃん、お譲ちゃんたちの交遊が描かれているが、たぶん彼らの行動規範は、いかにカッコよくいるか、ということだ。カッコウを気にしてそれによって生きも死にもするのである。それができる年代なのである。
鷺沢のバツグンに切れ味のいい、センスのいい筆致に惹かれて本書を手にしたのだが、ホントにホントにそれは期待にこたえてくれる。
「ヤリマン」
こんな言葉、「かっこいい少年少女たち」には似合わない。でもなぜそんなレッテルが彼女に貼られたのか、最後まで読むと分かったような気になってくる・・・。
ただ、昨今の社会情勢からいうと、登場人物の酒気帯び運転がやや気になるところかな。
訳も分からず読みふけったものです
★★★★★
初めて自分で買った文学らしい文学です。
若者の恋愛における心の揺れ方、その軌跡。
そういう恋愛からはひどく遠ざかっているわけですが、こういうピュアな気持ちだけはいつまでも忘れたくないな。
忘れた瞬間にめっちゃつまらない大人に成り下がってしまいそうだから。
作者の瑞々しい感性が光るが、物足りなさも・・・
★★★☆☆
どこにでもある日常の風景。何気なくいつもどおりの生活を送る
人たち。その中で知り合った久志と理恵。だが読んでいて、二人の
関係はつねにふわふわした不安定さを感じさせた。理恵の何気ない
しぐさの中にも、彼女の心の動揺が垣間見える。大人と子供の
はざまで、だれもが必ず経験するであろうほろ苦い思いを、作者は
鋭い感性で描いている。静かな湖面を連想させるような文章だったが、
物事が淡々と描かれすぎていて、ちょっと物足りなさを感じた。
歳なんかとりたくない
★★★★☆
小泉今日子の「なんてったってアイドル」に”ずっとこのままでいたい 歳なんかとりたくない”というフレーズがあるが、それを地で行く物語。
読後、「なんてったってアイドル」とダブってしまったのは私だけだろうか。
両作とも時代的にもバブル終末期であり、根底には同じものが流れている気がする。
世間でもバブルよ行かないで、という雰囲気もあり、よいものをそのままでとっておきたいという、人間の思いが描かれている。