架空の藩が舞台なので歴史ファンタジーと言うべきかもしれないが、それなりの歴史観と幅広いボキャブラリーを持つ作者の、失礼ながら意外と本格的な時代小説だった。
こういうものを書ける現役のBL作家ってもうこの人くらい?
それほど厳密な時代考証をしてるわけじゃないと思うけど、おそらく落語、歌舞伎、映画などの素養があるのでしょう。
ただの「衆道もの」ではない、幕末から近代という時代の変わり目の8年間を、兄の仇として追うもの追われるもの引き裂かれた二人の若者の運命を歴史を背景にスケール大きくダイナミックに描いている。
剛しいらにはこういう、他の人が書けないジャンルをもっと書いて欲しい。