宗教や文化、風土が絡んでいると根深くて難しい問題がある、とあらためて思いました。
女性の地位とか、その社会の習慣とか。
ある習慣や風習を自分たちのと比較して異なるからといって、それが悪いとも言えないのですが、弊害はあるんだろうな、この社会・・・と思います。
しかし、この悲惨なチェチェン情勢だったら、テロが起きても当然だと思う。
戦争の悲劇、母親の悲しみ、若い娘の恋愛、若さゆえの無知、家族全体・社会全体の貧困。
ロシア政府の態度、“国際社会”の無視。
私たちにも充分理解可能な事情から、自爆テロ犯になった女性たちもいます。
しかし、注釈や解説がありません。
チェチェン問題をまったく知らない人向けではないと思う。
私はアンナ・ポリトコフスカヤの「チェチェン やめられない戦争」を読んだことがあったので一応少しは知っていたのですが、それでも、訳注があるといいなと思いました。
なので星4つ。
もし2冊を比較してどちらを先に読んだらいいかと考えると、
1冊目「チェチェン やめられない戦争」
2冊目「アッラーの花嫁」
の順番で読むといいと思います。
どちらもロシアの女性記者が書いた本ですが、どちらかというと前者のほうがジャーナリスティック。
ポリトコフスカヤのほうがベテランだし・・・。
しかし「アッラーの花嫁」の著者は、取材・執筆当時は弱冠22歳。
1981年生まれの人。
よくぞここまで! と思いました。
(どうでもいいことですが、カバー折り返しにある著者近影は女優ばりの美人でした。同性ながら。)
余談ですが、原文を知らないし読めないのでなんとも言えませんが、だいぶ口語的な翻訳だなと思う箇所もあり。
「こういう話は書きたくなかったです」とか。いいのかな。
「書きたくありませんでした」ぐらいのほうが個人的には好み。
でも、この現実を伝えようと取材を続けた著者の存在に少しだけ救われました。
同じ若い女性が憤りを持って現実を伝えている渾身のノンフィクションです。