また、百年戦争の前半部分(ジャンヌ・ダルクが登場する前)について
いくつかの戦闘を除くとほとんど知らなかったので、この本により初め
て知ったことが結構あった。この点での記啓蒙的要素+随所にでてくる
司馬遼太郎的なウンチクが、この本をベストと思う所以。
余談だが、この小説には、これまた傑作漫画「アルカサル」に登場する
人物が出てくる。ただ、漫画のほうと全然キャラが違う。また、漫画の
ほうは途中で中断したままだけど、その結末がこの小説で描かれてる。
なので興味のある方は読み比べてみて欲しい。
歴史小説家の力量は、その文章で如何に読者の想像力を掻き立てられるかという、まさにその一点にかかっている。戦闘シーンはそのものに勢いがあるので、余計な装飾は野暮になる。「一流」で~~あるかどうかは、戦闘以外のシーンの描かれ方に出る。
歴史を「事実よりそれらしく見せる」(小説のみに許される)ウソのつきかたが不自然で、明らかに目立ってしまっている。これでは流れに乗って読んでいるほうは興醒めしてしまう。~