過剰適応
★★★★☆
相手に過剰に適応しようとしてしまうのはなぜでしょう。気に入ってもらいたいというより、
自身の寂しさを満たそうと無自覚に行動する結果なのではないでしょうか。
寂しさの根底は幼少時の脆弱な家庭環境にあるといえるかもしれません。そして寂しさにのみこまれてしまった結果、
躓き、先に進めない人も多いのでしょう。
寂しさとは恐ろしいものです。
ただ、家庭環境のせいにしてしまっても、解決しない問題です。
では、どうするのでしょうか。
家族は自分の鏡
★★☆☆☆
若者が社会にでて会社組織になじめず人間関係をうまく築けないとき、恋愛がうまく成就しないとき、人は家庭の育った環境を振り返る。斉藤氏のきりくちは個性的ですが、家庭が基本であることは間違いなし、家族機能不全の家庭に育った人でも社会人として普通に生活している人もいるので、ひきこもりやある一時期の心の闇はだれしも経験することかもしれない。この本で自分が社会に適応できないのは親のせいだとか一時的に自分を正当化してまずは社会人として生きてみてはじめて親のありがたさや命の大切さがわかるようになるほど、日本は豊かさの病があるのではなかろうか。日本人の病理として記録すべき切り口ではあるが、日本人の精神的成長の遅さを感じてしまうのは私だけであろうか。
斉藤学について
★★☆☆☆
自分は、機能不全の家族に育ちました。今は発症していませんが、うつも抱えています。アダルトチルドレンに関する国内外の名著も複数読みました。その上で、斉藤学さんの著作や活動について一言述べます。
まず、著作について。彼の著作で、読むに値するのは、『アダルトチルドレンと家族』だけだと思います。実際、部数も、この本が一番出たようです。他の本は、なんだか、河合隼雄が書いた、大学受験の現代文に出てきそうな、およそ学問的、臨床的とはいえない、とりとめのない随筆のような内容に終始してしまっています。彼は、自身の著作が国語の教科書にでも採用されることを狙っているのでしょうか。彼の本は、真に救いを求めている人には、混乱をもたらすだけだと思います。
また、彼の活動も、非常に、金儲け主義的です。彼の治療は、短い時間で信じられないくらい高額です。彼の監修しているカウンセリングルームにも、同じような輩が集まっています。このことは、実際に、アダルトチルドレンの本を読んで、カウンセリングを検討した人なら、多くの人が気付いていると思います。
現在のカウンセラーには、お金儲けのために、仕事をしているような人も大勢いると思いますが、自分には、彼がその代表格に見えてなりません。
疑問を投げかけるための1投として、あえて、レビューさせてもらいました。
自分というものを考え始めるにはいい本
★★★★★
この本に限らずであるのだが(このレビューもそうなのだが)、斉藤学氏の書かれる(或いは書かれた)本は、自分とその周囲を考えるスタートに良い本であると思う。
氏の述べている事は真実の一面である。氏の長い臨床経験、家族機能研究所としての関わりの中での発見がそこにあると言える。
しかし、氏の紹介によるアダルトチルドレンという概念が安易に広がった事の弊害も多く、そういった流れへの配慮という面では氏の本はいささか足りないと言えるだろう。
一つの考えを、その考えを理解しないで、そんな部分的な理解を自分の考えとして丸ごと受け入れてしまうという多くの人に見られる姿勢が、こういう本により変な方向へ向かわせてしまうという現象を理解し読む必要があると思われるが、そこまでの事を期待できる読み手が少ないのもまた事実であると思う。
事実と理論を分けて自身で検証でき得る人であれば有意な本となるのは間違いない。
社会病理の吹き溜まり
★★★★★
「家族依存症」というタイトルなので、誤解してしまいそうですが、
要は、家族と社会におけるさまざまな依存について書かれた本です。
母親の子どもへの依存、父親の「良妻賢母」への依存、ギャンブル依存、などなど。
依存症研究の権威である斎藤さんがこの社会の依存関係の構造を一冊にまとめています。
全体的な構成がちょっとごちゃごちゃしていて読みづらい感じはありますが、
家族や社会の暗部を開いたその中身は、なるほどと頷けるものが多いです。
一つ残念なのは、イラストがソフトカバー版とは違うものに差し替えられていることです。
とても印象の強いイラストだったのですが…。(と言っても書いてるのは同じ方なのですが)
この本の中で最も人に読んで欲しいと思うのが「学童社会のワーカホリック」という項です。
この国の「マトモな大人」たちの正体をうまく捉えていて、はっとさせられます。