これは皆にお勧めしたい
★★★★★
家族。それは集団力学でしわ寄せが子どもにいってしまったりする。親に余裕がなかったり、両親が不仲だったり。そうするとその中での弱者である子供はスケープゴート的存在になってしまう。そして大人になっても理不尽な環境に甘んじて、不当な事をされても自分が悪いんだと思ってしまう。そして社会でもスケープゴートにされてしまう。自分の本心が分からぬまま、他人にたやすく支配されてしまう。
また先生や病院、学校、これらは患者や生徒を守り癒し育てる場とは一応されているが、実は管理する場所であると。先生達にとって管理・支配しやすい仕組みが作られていて、また必要以上に本来の患者や生徒の自尊心が奪われていく場合もあるという。私たちは、権威に惑わされず、賢い人間にならなければいけない。親・先生・上司が絶対正しいとは限らない。TVの評論家が無難な無責任な権威に媚びた(彼らもある種サラリーマンだから仕方ないのかもだが)メッセージを発している中、これは貴重な本である。
バランスよい良書
★★★☆☆
「共依存」という言葉を創り、日本に「アダルトチルドレン」という言葉を定着させたのが著者だそうです。
共依存、DV、ACなどの家族にまつわる問題を包括的に整理して概観するのに大変役に立つ良書です。
共依存やDVに明け暮れる「機能不全家族」がACを作り、またそのAC同士が家庭を持つことにより、不幸の世代間連鎖が続く・・ワタシにとってはまったく他人事ではありません。
ACの特徴のひとつに自己評価が低く、自己愛が育っていないという欠点があります。しかし、これは見方によっては他人の事に非常によく気がつく「共感能力」の高さという長所でもあるのです。看護師、医師など医療・介護関係や学校の先生など「世話焼き産業」の従事者が、実はACであることは珍しくありません。
ACが世代間で連鎖するように、世話焼き形質が親から子に連鎖するので「教師の家系」とか「代々医師の家系」などというものが世の中に案外多い理由かもしれません。
機能不全家族という概念もしばしば出てくるのですが、本当にちゃんと機能している家族などというものが存在するのだろうかという疑問に対する回答は得られませんでした。またさまざまな互助団体に入会する以外の方法でACの連鎖を絶つ具体的方法にも触れていなく(難しいのでしょうが)この点から星は三つ。
不幸は世代を超えて連鎖する!?
★★★★☆
その症状(病気)、家族システムの維持に役立っていませんか?
本書は、過食症や拒食症、無力な男性を愛しすぎル女性、
家庭内暴力、登校拒否や非行の子ども、母と娘の危うい関係、
健全な家族という罠など、家族を土台とした人間関係の主要な
テーマをエッセイ風に分かり易く紹介してくれています。
生き辛さや人間関係に違和感を持っている人にとっては、
自分の感じている違和感の根本に気が付かせてくれるヒントや
きっかけを与えてくれるかもしれません。
本書を読むことによって、当り前や普通だと思っている
「家族」というものに対する自分の認識を再確認することが
出来るようになるかもしれません。
共依存や嗜癖を中心にした解説になっているかも
しれませんが、それでもこの一冊で家族に関する実に
多くのことや、人間の根源的な欲求を再確認させてくれる
良書だと思います。
斉藤学について
★★☆☆☆
自分は、機能不全の家族に育ちました。今は発症していませんが、うつも抱えています。アダルトチルドレンに関する国内外の名著も複数読みました。その上で、斉藤学さんの著作や活動について一言述べます。
まず、著作について。彼の著作で、読むに値するのは、『アダルトチルドレンと家族』だけだと思います。実際、部数も、この本が一番出たようです。他の本は、およそ学問的、臨床的とはいえない、とりとめのない随筆のような内容に終始してしまっています。彼は、自身の著作が国語の教科書にでも採用されることを狙っているのでしょうか。彼の本は、真に救いを求めている人には、混乱をもたらすだけだと思います。
また、彼の活動も、非常に、金儲け主義的です。彼の治療は、短い時間で信じられないくらい高額です。彼の監修しているカウンセリングルームにも、同じような輩が集まっています。このことは、実際に、アダルトチルドレンの本を読んで、カウンセリングを検討した人なら、多くの人が気付いていると思います。
現在のカウンセラーには、お金儲けのために、仕事をしているような人も大勢いると思いますが、自分には、彼がその代表格に見えてなりません。
疑問を投げかけるための1投として、あえて、レビューさせてもらいました。
立ち直りはじめてからの本か?
★★★★☆
「今まで抱えていた自分の問題が、家族の中に何かの原因があったんだ」と
気がつき始めたばかりの人には、ちょっと突き放したような内容に感じるかもしれない。
今苦しみの真っ最中の人は、もっともっと苦しくなるような実例を挙げている本を読み
作者に共感してもらい認めてもらい、見つめなおして考え直してもらうほうが結果的には
楽だろう。「結局自分が強くなるしかない、自分にも【無意識に】問題がある」とも
取れるこの書き方はある意味的を射ている分、まだ弱っている人には苦しいかもしれない。
ある程度立ち直ってから読めば、あらためてこの本を読むことによって、感傷に
ひたることなく【過去を冷静に見れる】という意味でよいのではないか。
全くACには関係ないような世界の人にとっては、情緒面だけで話を進めるのではなく、
理論も含めて読めるこの内容はACと自称する人への偏見(甘えだ)などがなくなり、
理解が進められるかもしれない。
このテーマを研究する学者さんは、時々事例の紹介の文章が、他の文章よりも明らかに
興奮したように見える人がいるので、もしかしたら、自分自身もそういった悩みを抱えて
いるから家族のテーマを研究するようになったのだろうか?などと思っていたが この本を
読み、齋藤氏もまた苦しんでいる面があったのだということがわかった。本の後半に進むに
つれ、彼の個人的な部分が見えた気がした。その分、この本の価値が上がったととるか
下がったと取るかは、受け止める人しだいで大きく変わるだろう。