鎮魂… おそろしい本…
★★★★★
戦闘シーンのすさまじさ。何度か本を閉じました。戦艦武蔵の兵隊さんたちに合掌。おそろしい戦いの記録です。鎮魂。
感性の鋭い子供時代にこそ読んでおきたい一冊
★★★★★
私は約30年前の小学二年の冬休みに、この本の単行本版を母に買ってもらい(別に私が買ってくれと頼んだわけではありません、勝手に母が買ってきたものです)、その正月にこたつに入りながらミカン片手にむさぼるように読みました。漢字にはルビがふってありましたので、3日くらいで読みきってしまいました。この物語は、太平洋戦争も敗色濃い1944年10月下旬、旧日本海軍がフィリピンのレイテ島レイテ湾突入を目指して行った水上攻撃(捷一号作戦)中に、米機動部隊の空母艦載機の攻撃によって撃沈された、当時世界最大の主砲を持った"不沈"戦艦武蔵(戦艦大和の同型艦)の戦いを描いたものです。とにかく徹頭徹尾、一兵士の現場体験で描かれており、そこには戦記物にありがちな装飾や隠蔽の要素は"一切なし"。そのリアリズムに徹している点がこの本の非常に良いところです。なかなかこういう「愚直」なまでに素直な戦記物にはお目にかかることができません。
生々しいシーンも次々出てきます。至近弾を受けて四散する肉体、いたるところに張り付く桜色をした肉片、戦闘中に気が狂ってしまった兵士、爆弾の破片で両足をすっぱりそぎとられてしまった同僚...「魚雷命中」「射撃方位盤故障」「(主舵・副舵)両舵動きません」など、伝声管で艦橋に伝えられる言葉も、当時小学生の私には何のことを意味するのかはぼんやりとしかわかりませんでしたが、そのままに緊迫した状況だけは伝わってきて、凄みがあります。戦記文学では、大岡昇平の金字塔「レイテ戦記」、戦艦武蔵を扱ったものとしては、吉村昭の傑作「戦艦武蔵」など、他にもたくさん評価できる本がありますが、この本は普通の子供がすっと入って読んでいける本として、また、戦争の現実とはいかなるものなのかという疑問にストレートに答えてくれる本として、すばらしくvividなドキュメンタリーに仕上がっています。文句なく最上級の5つ星をつけたいと思います。世の中のお母様方にお子様向けとしてお勧めいたします。できれば文庫版ではなく、単行本版をお買い求めください。単行本版には戦艦武蔵の見取り図、断面図、艦隊配置などの図が入っているのですが、本文を理解する上で欠かせませんので。また、挿絵も秀逸です。
感性の鋭い子供時代にこそ読んでおきたい本
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私は約30年前の小学二年の冬休みに、この本の単行本版を母に買ってもらい(別に私が買ってくれと頼んだわけではありません、勝手に母が買ってきたものです)、その正月にこたつに入りながらミカン片手にむさぼるように読みました。漢字にはルビがふってありましたので、3日くらいで読みきってしまいました。この物語は、太平洋戦争も敗色濃い1944年10月下旬、旧日本海軍がフィリピンのレイテ島レイテ湾突入を目指して行った水上攻撃(捷一号作戦)中に、米機動部隊の空母艦載機の攻撃によって撃沈された、当時世界最大の主砲を持った"不沈"戦艦武蔵(戦艦大和の同型艦)の戦いを描いたものです。とにかく徹頭徹尾、一兵士の現場体験で描かれており、そこには戦記物にありがちな装飾や隠蔽の要素は"一切なし"。そのリアリズムに徹している点がこの本の非常に良いところです。なかなかこういう「愚直」なまでに素直な戦記物にはお目にかかることができません。
生々しいシーンも次々出てきます。至近弾を受けて四散する肉体、いたるところに張り付く桜色をした肉片、戦闘中に気が狂ってしまった兵士、爆弾の破片で両足をすっぱりそぎとられてしまった同僚...「魚雷命中」「射撃方位盤故障」「(主舵・副舵)両舵動きません」など、伝声管で艦橋に伝えられる言葉も、当時小学生の私には何のことを意味するのかはぼんやりとしかわかりませんでしたが、そのままに緊迫した状況だけは伝わってきて、凄みがあります。戦記文学では、大岡昇平の金字塔「レイテ戦記」、戦艦武蔵を扱ったものとしては、吉村昭の傑作「戦艦武蔵」など、他にもたくさん評価できる本がありますが、この本は普通の子供がすっと入って読んでいける本として、また、戦争の現実とはいかなるものなのかという疑問にストレートに答えてくれる本として、すばらしくvividなドキュメンタリーに仕上がっています。文句なく最上級の5つ星をつけたいと思います。世の中のお母様方にお子様向けとしてお勧めいたします。できれば文庫版ではなく、単行本版をお買い求めください。単行本版には戦艦武蔵の見取り図、断面図、艦隊配置などの図が入っているのですが、本文を理解する上で欠かせませんので。また、挿絵も秀逸です。
生々しいからこそ子供でも読んで欲しい
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フォア文庫なので使用漢字や文体的にも児童向けです。
日本の反戦プロパガンダ映画や小説は銃後の話がほとんどですが、一方的に被害者的な視点のみでは戦争について考える契機とはなっても、では自らが何をすべきかという発想につながりにくいように思えます。
本書は兵隊だった著者の一人称で進行しますので、敵をやっつけもするし、仲間を見捨てたりもします。けれどそれが本当の戦争の姿であって、勧善懲悪の図式に当てはまらないからいまでも戦争がなくならないのではないでしょうか。
テレビゲームや映画でよくみられる血と涙と友情のドラマは、つい60年ほど前に日本でも実際あったことであり、むしろそちらがオリジナルなのだという事実を知るだけでも価値のある一冊だと思います。
生生しい表現が多いですが・・・
★★★★☆
ナレーターが全知の語り手ではなく主人公であるため、より臨場感が生まれるような気がします。
多少生生しい表現が多いように感じましたが、そこで「これが本当の戦争だよ」と教えれば、ただ気持ち悪いだけで終わらず、戦争を憎む気持ちが生まれるのではないかと思います。