限られた時間でメンバーや交渉相手、顧客、株主に自分のビジョンを理解させるのに「外見」が重要になること、人材の流動化や国際化が進み、常に自分の見せ方に意識を配りTPOに合わせた最適のプレゼンス(あり方、存在)を演出する必要が出てきたこと…。
本書が紹介するのは、そうした「外見」を武器にするための「プレゼンスマネジメント」というノウハウである。内容は、「あごの位置」「眼」「声」などのマネジメントを扱った基本編、相手との距離の取り方や警戒心の解き方、「聞き姿」「話しかけ方」などを指南した実践編、「常に最適のプレゼンスを身にまとうため」の心構えを説いた定着編の3パートからで、テーマごとにエクササイズを設けている。著者がビジネスコーチということで、コーチング形式を含めているのが特徴である。
取り上げている「外見」のテーマは特別なものではないが、それを政治家などの実例やエピソードから興味深く読み解いている。とくに「あごが高いと偉ぶった印象を与えます」といった悪例の指摘には、思わずわが身を振り返ってしまうだろう。また、テクニックを紹介する際に、それがどのような意識のもち方から生まれるのかを明示しており、見せかけだけではないコミュニケーション能力を磨くのに役立つはずだ。部下が自分の思い通りに動いてくれないといった悩みを抱えるリーダーやマネジャーにおすすめの1冊だ。(棚上 勉)