時は江戸、日本人の母とオランダ人の父を持つ狂四郎が、その業を背負いながら送る流浪の人生を描く。数々の剣豪との死闘。生と死の挟間で無想正宗が踊り、円月殺法が冴えわたる。
クールでニヒルな無頼の男が見せる一瞬の心の内。独特の空虚感と若干のユーモア、謎解きのエッセンス、そして息を飲む白刃の交わり・・・。
なんだか稚拙な解説文になってしまい、かえってこれを読んだ人の興味を損なうのでは、とちょっと危惧するが、「時代劇なんて年寄り臭い」と思う前に一読願う。結構エンターテイメント性が高いことに気付くはずだ。