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和解 (新潮文庫)

価格: ¥420
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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苦と楽 ★★★★☆
 順吉(≒志賀直哉)は自らの屈折した性格に苦闘しながら、家族・世間と折り合いをつけようとする。第二子がうまれたとき、自然と妻の額に接吻するシーンはハッとさせられる。人間のこころの複雑さと単純さを考えさせられる。
 その一方で、冗漫と思える記述もある。たとえば、三井銀行で待たされる一連の記述だ。しかし翻って考えると、それがこの中篇小説にいいリズムを生んでいるのかもしれない。
「暗夜行路」より「和解」のほうが志賀直哉の良さが味わえるとわたしは思う。
小説の神様! ★★★★☆
書き出しは作品の命。
何かしら文章を書くことを志した人なら誰しも、一度は出会うはずの言葉。
書き出し(導入部)でいかに読者を作品世界に引き込めるか、作品の向かうべき方向を匂わせることが出来るか……に、書き手は苦心する。
そこに注目すると、この作品は凄い!鳥肌が立つ。最初の二三ページで、父と息子の微妙な関係(気まずさまでも)が浮き立つのだ。
鋭い人間観察眼と、神様と言われる小説の構成力あっての賜物。
これは是非一度は読んでおくべき作品です。
和解とは。。。 ★★★★★
志賀直哉自身の体験に基づいて書かれた作品、それがこの『和解』だ。

物語を読み進めるうちに、主人公とその父親とが緊迫感のある不和の状態に陥っていて、それは相容れない意見の違いからきているのが浮かび上がってくるが、具体的に何が起こったのかなどについては全くといっていいほど書かれていない。
けれども、読み終えて納得する。『不和』の原因は和解には全く関係ないのだと。。。

主人公は新たな命の誕生に対する感動などを通して、父親との和解を決意する。父親はそれを受け入れる。和解のシーンはとても美しく、すがすがしくてきれいだ。和解とは、互いが認め合い、愛情が通った時に天からのギフトのようになされるものであると教えられた。例え意見や考えが一緒でなくとも愛情という架け橋によって人々は繋げられて合って生きているのだと思う。
かっこえぇ ★★★★★
 志賀直哉氏が父親との和解までの道のりを書いた作品。

 昔からケンカをしても、次の日には何の気なしに話をしている。そんなガキだった自分。まあ男子なんてみんなそんなもんだった気がするけどw

 それに反して、この志賀直哉氏は父親と仲違いして、ずいぶんと長い年月をかけて和解した。
 なんかすごいかっこいいなぁ。ケンカしても仲直りしなけりゃいけない縁(仲直りしたい縁)というのがあるんだなぁ。

 若干、自分の「きちんとしたケンカ」をするような相手もいなかった人生は、少し寂しいなぁ。と少しうらやましく思ってみた。


 むっちゃよかった。
生命のつながり―血縁関係― ★★★☆☆
第一子の祥月命日から始まり、最近の父親との争いの発端を探っていく回想じみた展開は読者を引き込ませるようでさすがにうまいと思った。志賀直哉らしく情景描写力、人間性の表現力は抜群で、この作品でも充分に滲み出ているのが第一子の危篤場面である。第一子の死による絶望から第二子の誕生による歓喜は、主人公の父に対する憎しみから調和への気持ちというコントラストと重なっており、生命のもたらす神秘的な力と意義を謳いあげているように思われる。半面、父と和解しようという気持ちの推移はあまり書かれておらず不徹底であるが、それはかえって生命の神秘的力を印象づける効果を高めていると言える。ただ、個人的には主人公の父への憎しみやそれから解放されるときの和やかな気持ちがグロテスクに表現されているのを期待していたばかりに少し残念だった。父子の血縁関係は絶対的なもので、それは決してなくなりはしない。どんなに嫌いになろうがその関係の強固さはゆるぎないということを改めて考えさせられた。