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さよなら快傑黒頭巾 (中公文庫)

価格: ¥700
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論新社
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みごとな文学的達成 ★★★★★
これほど確信犯的に人生と自己を戯画化した若手作家はかつていなかった(そしておそらくこれからも)。俳諧的なみごとな文体と華麗な筋運び、軽妙洒脱な会話体とモノローグ。書くことと生きることとをどのように結び合わせるのか、著者自身の煩悶が主人公に高踏的に反映されていて、しかも構造的に良く練られた夏目漱石クラスの画期的4部作である。本4部作の良さがわからない読者は、残念ながらノーベル賞クラスの一流文学の素晴らしさの恩恵から一生無縁の人間である。三文娯楽小説を抱いて火葬場まで行けばよい。
思想信条を捨てる時 ★★★★☆
男はたいへんだな、と思った。男はくだらないとも思った。
学生運動の時代を生きた若者が社会に組み込まれ、観念して人生の仕切り直しをする。
そんな二十代後半の「先輩たち」を二十歳前の薫くんは観察し、少しだけ共感する。
この本は、若者が生きる道が本当に険しくて、進路を変更してしまうことが実は普通なんだということを、ほんわかとした語り口でわからせてしまう。
見かけに寄らずなかなか手強い本である。