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哲学ノート (中公文庫)

価格: ¥500
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論新社
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『人生論ノート』にならぶ代表作 ★★★★★
 三木清といえば『人生論ノート』の印象が強い。しかし戦後の哲学青年たちが愛読したのは『哲学ノート』であった。
 本作の感想については『哲学ノート (新潮文庫 み 5-2)』のレビューで述べたので省略するが、中公文庫版には河出文庫版の解説が再録されており三木哲学を研究している者にとっては何よりのサプライズだと思う。
 ぜひ中公文庫に収録されたことを契機に三木哲学が再評価されることを願って本レビューを閉めたい。
優れた時代感覚 ★★★★★
 三木は『読書と人生』の中で、のちに師となる西田幾多郎の『善の研究』に触発されて哲学者となったことを述べている。本書の序文も哲学者として大成した三木から読者である哲学青年たちに贈ったメッセージかもしれない。事実『哲学ノート』は戦後の哲学青年の必読書であったという。
 さて本書は主著である『構想力の論理』(以前は岩波書店から、現在は燈影舎より『創造する構想力』と題して刊行されている)へと続く小論集である。刊行された1941年という時代を反映してか指導者論やジャーナリズムなどあつかったものが多い。
 『人生論ノート』など三木の著作を読むと卓越した現実感覚・時代感覚を感じる。三木が治安維持法の倒れたの皮肉ではあるが、それは逆説的に優れた現実感覚・時代感覚を有していたことを示すものだろう。
 『哲学ノート』から新たな哲学者が生まれることを望んで、このレビューをしめようと思う。