技術と文化の両輪で、日本をグローバル化せよ、と鼓舞する本
★★★★☆
来るべき「米中2強」の時代に、日本はどう生きるべきかを分析する本。
これまで、日本企業は、ある程度の規模がある日本市場に閉じこもり、
独自の生態系を保って進化してきた。しかし、台頭する新興市場で、
外国企業に先行を許してしまう一方で、国内市場は縮小過程にあり、
このままでは絶滅の恐れがあるという。
その環境下で、この本は日本が生き残るための3つ戦略を提言している。
その1が、新興国の1万ドル世帯が持つ日本へのあこがれを活かすことだ。
新興国の所得シミュレーションをすれば これから新興国で高所得化が進展することが
わかるという。その顧客は日本へのあこがれを持っており、ここにチャンスがあるという。
その2は現地ニーズに則した差別化・工夫をすることだ。
成功している企業は、日本の文化やきめ細かさなどとを、現地の状況にうまく融合させているという。
その3は、コスト削減と、開発・生産の現地化にある
日本の商品や世界観を持ち込むだけでなく、販売方法や管理方法も含めて確立することが重要だという。
これらの戦略を活用して、ブランドづくりが重要だとも言っている。日本企業は、
開発した新技術を独占しようとする傾向があるが、それでは、世の中に普及することもなく
終わってしまう可能性がある。戦略的な思考により、技術を共有するなどして、
「仲間づくり」をすることが必要だという。そうすれば、日本の前にはブルーオーシャンが
広がるだろう。