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風姿花伝 (ワイド版 岩波文庫)

価格: ¥972
カテゴリ: 単行本
ブランド: 岩波書店
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芸人はこうあれ ★★★★☆
卑俗に,極,卑俗に読むと『芸人はこうあれ』ということが書いてある。
もっと,立派なことが書いてあるかと思うと、最初にこう書いてあるのが笑うのである。
大意だけを書く解説ではこの部分は省略されることが多い。

一、女遊び・賭け事・酒の飲みすぎは三重戒、これは古人の掟である。

古人とは,この花伝書をまとめ始めたとされる世阿弥の父親、観阿弥のことである。
つまり,平たく言えば、
「お父っつぁんに.飲む打つ買うはやめろって言われてます」
ということだ。

金閣寺をつくった足利義満に仕えて能の興隆に尽力し,最後は佐渡に流される世阿弥。
当時の人気商売である能楽師の浮き草稼業ぶりを明確に知っていたのである。
このあたりの雰囲気は山田風太郎翁の小説『柳生十兵衛死す』に詳しい。
幽玄を求める書。 ★★★★☆
「序破急」「秘すれば花」といった有名な語句の封入されている、能の奥義書。
幽玄さをいかにして演じるかを、花の喩えで徹底的に解説。
室町時代に書かれたものであるが、然して読み難いこともない。
能のみに留まらず、芸術論としても見事であろう。
芸術の「古典」であるが現代にも通じる ★★★★★
観阿弥・世阿弥が言うところの芸能における「花」ということに興味があり本書を読んでみたのですが、単に芸能(芸術)における古典ではなく、現代の社会にも通じる記述が随所にあり思わず引き込まれてしまいました。
「花」を極めるためには結局は、なによりも稽古(努力)が第一であり、慢心せず常に謙虚に稽古に精進することだと理解しました。これは単にビジネスだけでなく生き方にも通じることではないでしょうか。

なお原文は当然のことながら古文ですが、
・非常に平易な文で記述されていること
・分量が多くないこと
・章立てが細かいこと
により読み易い本です。
ぜひ一読されることをお勧めします。
すべてに通じること ★★★★★
高校時代に本書に目を通したときは、この本の凄さが良くわからなかった。しかし、数年前、改めてじっくり読み直し、ひとつのことを極めた世阿弥という人の凄さを実感した。この本に書かれていることは、簡単に言ってしまえば世阿弥の能に対する考え方、能を演じる者としての心構え、芸術論である。が、一職業人として、また芸術家として、それまで娯楽でしかなかった「能」を芸術にまで高め得た才知と哲学の体系は、能あるいは芸術一般のみならず、現代の私たちの生き方の指針ともなると思う。
史上まれに見る演劇理論 ★★★★★
世阿弥の演劇理論の驚くべきところは「悲しみを演ずるのに涙を使わない、老人を演じるには背中を丸めない」という反具象性であろう。西洋がスタニスラフスキー・システムなどを通しようやく思い至った演劇の真髄を、この時代に既に見て取っていたその眼力には感服の他ない。息子にこれだけのことを口伝で叩き込んだ観阿弥という親父のすごさは言うに及ばず、それをしっかり消化して演劇論のレベルにまで昇華した息子も怪物と呼ぶ他は無い。お涙ちょうだいの三流ドラマを愛でる日韓の叔母様方の現状を見たら、世阿弥は何と言って嘆くであろうか。「老人ならば背筋を伸ばせ」はご老人相手に健康教室で話をするときによく引用させてもらっている。自分の背筋も伸びる。