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大統領の陰謀―ニクソンを追いつめた300日 (文春文庫)

価格: ¥880
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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十代にも読ませたいノンフィクション最高峰 ★★★★★
新装版が出ていたのは、いわゆるディープ・スロート本人が語った作品が前に出たからであろうか。

映画と一般的な常識でしか内容は知らなかったので、あの細かい情報(とくに人物たち)と事件の進行を一冊で読めて確認できるというのがうれしいところ。

不思議な感じがするのは、ウッドワードとバーンスタインが、それぞれ三人称で、それぞれのカメラ視点で最初、お互いへの思いを記述しているようなところです。これは映画ではできない表現ですね。

また「水門(ウォーターゲート)は決壊しようとしていた」といった表現がさらりと出てきて、ちょっとした海外ミステリーのような感触もあります。

いま45歳以下の人はこの事件のことすらあまり知らないだろうし大人も一気に興奮して読めるが、活字が好きでミステリアスなものが好きな中学生くらいならば、「ジャーナリズム+ミステリー」要素が強いために「調査報道」や「ノンフィクション」とははたしてどういうものか、また政治の裏舞台や新聞ジャーナリズム世界の本質がいち早くわかるだろう。娯楽にしていいジャーナリズム入門にもなるのではないか。
 なにせフィクションではなくてこれがリアルな「歴史的事件」であるというインパクトはこの上ないからです。

難を言えば、ホワイトハウス内や大統領側近と、ワシントンポスト内の組織図や相関図が欲しかったですね。あいうえお順リストはあるけど、あまり意味がないと思った次第です。地図があればもっとよかったし。そこだけ本としては減点ですが、全体が5点満点であることに変わりはありません。
歴史的に極めて重要なジャーナリズム著作 ★★★★☆
ロバート・レッドフォードとダスティン・ホフマンが主演した映画の原作でもあり、歴史的に極めて重要なジャーナリズム著作です。

ちょっとした空き巣事件のようだったウォーターゲート事件が、大統領側近や大統領自身の悪行を暴き出す世紀の大事件に膨らんでいく様子が、この事件の報道に関わった2人の新聞記者の経験に基づき描かれます。
当然、ある時点から猛烈な非協力や妨害も起こり(ニクソンはある時「新聞社を爆撃できないか」と言ったとか…)、それに呼応して新聞社上層部や「ディープスロート」と呼ばれた匿名の政府高官の支援もあり、結果は分かっているのに手に汗握って展開を追いかけてしまいます。
(ただ、とにかく登場人物が多く入り組んでいるので、先に映画を見ると顔のイメージがわいて読みやすくなると思います)

この後ニクソン辞任までを追った続編『最後の日々』も続けて読みたい作品。
ただ、『最後の日々』は書き方が「ニュー・ジャーナリズム」と呼ばれる、小説っぽい技法(その場にいたわけでもないのに会話や考えなどがリアルに書かれる)に変わっていて、好き嫌いは分かれると思います。
名政治ドキュメント ★★★★☆
余りにも有名な名政治ドキュメントです。当時この本が発表された時にはこの本の内容がすごくセンセーショナルであったことは間違いないと思います。
今現在も些細な事だと思われた事件が世界一の権力者を追い込んでいくので、爽快です。特に行き詰った後の後半、どんどんと相手側サイドから崩されていって崩壊していく過程はわくわくしてきます。
しかしいかんせん古く感じてしまいました。すでにディープ・スロートが誰だか分かっていますし、この本以外にもウッドワードの「ディープスロート」を読んでしまっているため、今更またこの本を読む必要があったのかと一瞬感じてしまいました。
また出てくる登場人物も余りにも複数なので、誰が誰か分からなくなり、途中何度か戻って確かめてしまいました。
以上難点もあるものの、ジャーナリズムにとって大変重要な作品で、丁寧に書かれていますので、良書であるのは間違いありません