よくここまで膨らませたなと脱帽。
★★★★★
小説としては、登場人物をすべて描ききれたとはいえないので星4つだが、
東京電力OL殺人事件をもとにここまで広げたことに敬意を表して星5つ。
また、「ダブルフェイス」という題名も秀逸だ。
サラリーマンやOLなら、誰しもダブルフェイスを持たないと、
もはや精神のバランスを保つのが不可能な時代だと思う。
それをうまく描いている。
私だって、仕事のことは職場を出た瞬間にすべてを忘れたいと思う。
もし女性なら、被害者と同じことをやったかもしれない。
そういう気にさせられる本である。
ネモ君のガール不フレンドの話については、不要なのではと賛否両論が
あるかもしれない。
ただ、ダブルフェイスを表現するのには必要だったのではないか。
彼女が次のダブルフェイスの予備軍となるだろうし。
この本は、東京電力OL殺人事件をもとにしているが、決して興味本位な取り上げ方はしていないし、
実際の被害者の方に相当の敬意を払っているように思える。
遺族の方も決して不快にはならないだろう。
したがって、読後感は悪くない。
男女を問わず、社会人経験5年以上の方におすすめしたい。
生きる希望などはわくことはないが、共感できるところが多い。