非常にリアルな心情
★★★★☆
夏目の無力感や喪失感を、裕一と重ね合わせてみると、彼が本当はどうするべきなのか、どうすることが裕一や里香にとって一番いい方法なのか、とても考えさせられます。
例えば死に行く者は生きる者を想い、自分なんかに構わず未来を見て生きて欲しいと願うかもしれない。
死に行く者を愛したところで、結局は全てを失い、後には悲しい思い出が残るだけ。
でも大切な人のことを諦め、次第に顔も忘れ、思い出も曖昧になり、その上で幸せを掴んだとしても、それを正面から受け止めることができるだろうか?
そうやって大切なものを諦めて、安上がりな欲望を満たしていくことが人生の意味だろうか?
人の生き方とはそれぞれだけれど、せめて自分で自分の生き方を肯定できなければ、それは何かが間違っているんだと思う。
内容自体には全く不満はないけれど、Clannadとの共通点が見られるため、後発としてマイナス1です。
夏目吾郎の栄光と挫折
★★★★★
今作は夏目吾郎の話が中心になってます。
ちょうど高校生の時にリアルタイムで読んでたので、痛いほど夏目の気持ちが伝わってきました。
田舎を飛び出して、華やかな大都会で夢を掴む。
私も夏目と同じ気持ちを抱いてたので殊更。
今作の内容はタイトルの通り『夏目吾郎の栄光と挫折』です。
最後らへんは泣いてしまいました。
この巻が出るまでは夏目に対して良い印象を持ってませんでしたが、この巻を読んでから過去のを読み返すと夏目の隠された思いが伝わってきます。
本編より面白いかも
★★★★★
夏目の過去の話は、位置づけとしてはサイドストーリー
ですが、里香と裕一の話とは違う深い感動がありました。
大人には大人の哀しみがあって、歳月を重ねて築かれた
愛する人への想いは、高校生の純粋な恋以上に重い。
人によっては、二度と癒えないほどに。
一見ぽわぽわとしていながら、実は芯が強く常に前向きな夏目の
奥さんが初めて感情を露に泣くシーンでは、涙が止まりませんでした。
この夏目夫妻の物語があってこそ、その後の里香と裕一の物語に
奥行きが出たように感じました。
よい
★★★★★
印象的なセリフやシーンがたくさんあります。とくに給水管からぶら下がり、里香の病室に行くシーンが良かった。それまではかっこ悪いことから逃げていた悠一が、傷だらけになりながらそして結局一人では行けなかったことが、かっこ悪いけどそれ以上にかっこよかった。それに悠一が里香のためにいろいろなことをあきらめることを決心をしたのも感動した。4巻は半月の中でも一番好きな巻です。
僕たちの両手は何かを掴むためにあるんだ―。
★★★★★
アニメ版の内容はちょうどこの巻までです。宣伝ではありませんが一応。
夏目のエピソードとかないからただのヤな奴になり下がってますけどw(里香の母親も嫌な感じなままで終わってます)
半月の中では度々実在したプロレスの選手の(覆面と)名前が出てきます。しかしこんなにカッコいいとこはこれが最初で最後かもw
夏目のエピソードが主です。というか、本当は裕一たちの話は載せないつもりだったらしいです(あとがき参照)
この巻あたりから夏目がかわいく見えてくると思います。彼のおかげでなんとか話が進行してる感がありました。
伴侶を失い、今まさに一人娘をも失おうとしている。その母親の気持ちを少しでも裕一が理解してくれているようで安心しました(アニメ版ではそういう節がなかったので)
覚悟。簡単に口に出していますが、里香を背負う覚悟をこの頃の裕一はしていなかった。いや、しようにも相手の大きさを理解できていなかったと思いました。ただ、何かを掴もうと必死になっていた裕一をみて、最近の自分は彼のようにがんばれているのか。一度みなさんも自分に聞いてみませんか?