クルドの若者達は皆開戦賛成
フセインを倒すにはそれ以外考えられないと
大国や隣国は時々の都合でクルドを利用
クルド側もそれを利用
KDP支配地域の若者達は口々にKDP批判をする
「ネットも携帯電話も衛星放送も自由ですよね」
「本当の民主主義ではない」
「武装勢力による自爆や仕かけ爆弾も
米軍による掃討作戦も
一般の人たちの犠牲が前提にある
偶然に市民をまきこんでしまったのではない
市民に犠牲が出るとわかっていて、やっている」
2004年1月バグダッド
自爆テロに対して周囲の市民達は米の陰謀説を声高に叫ぶ
生活への不満、良くならない治安への不満からはけ口を求めて
陰謀説が流布されていると筆者は分析
2004年1月ファルージャの市民達と対話
「レジスタンスで市民が死んでいます」
絨緞屋の店主は
「レジスタンスは米軍に対してだけだ
スンニ派には二つのグループがある
市民から支持されているのは米軍に対する攻撃
爆弾を使っているのは、だれかが支援する組織
市民を攻撃するのは犯罪。私達も問題だと思う」
「だれかが支援する組織とは?」答えはなかった
自爆テロを行っているのは、イラク人の筈がないという建前
そこから出てくる帰結は、米軍の仕業か、外国人の仕業
どんな国にも超過激派はいる
無差別テロを行う正真正銘のテロリスト=超過激派とは戦わねばならない
アフガンではタリバン穏健派は武装解除に応じ選挙参加へ
ハマスやヒズボラは選挙で躍進
イラクのスンニ派地元武装勢力の多くとは、停戦し、同じイラク人をも
テロで多くの死傷者を出している超過激派と戦ってもらえばよいと思うのだが
やはりある程度の基礎知識は必要でしょう。イラクの「入門書」としては紹介しにくいですが、「専門書」のような敷居の高さはなく、著者撮影の写真もふんだんに使われています。それぞれの写真についての説明がもう少しあれば嬉しかったかな……。
情勢の客観的な描写をはさみながら、時に印象的な表現で、しかしベースは短めの文章の淡々とした積み重ねという文章作法は読み易く、これは記者経験から培われたものだろうとプロフィールを見て納得。この著者による「人々」の姿を伝える手法を、ほかの分野でも読んでみたいと思いました。