援助とは何か?
★★★★☆
貧困にあえぐ人たちを援助するとは、どういうことなのだろうか? この本を読んで、改めて考え込まされてしまった。途上国の人たちを援助することと、子供たちに何かを教えること、心や身体の病に苦しむ人たちに手を差し伸べることのあいだに、何の違いがあるのだろうか? 途上国の開発援助において明らかになった、援助する側の持つ様々な問題や限界は、個人的な援助関係においても、より分かりにくい形で起こっていることではないのだろうか? 逆に、個人的な援助関係におけるパラダイムシフトは、国家間の援助関係とも連動するものではないだろうか? このような連想が次々と膨らんでいく本だった。
あと一つだけ触れておきたいことがある。それは、21世紀は先進国よりもむしろ、第三世界の諸国での「共同研究」が、特に開発援助の実践面でのキャスティング・ボードを握るのではないだろうか? ということである。実際、PRAに関しては、タイの地方大学における研究がエポック・メイキングな役割を果たしたという。先進国のリアリティ、さらに言えば先進国の象牙の塔のなかのリアリティからは、「援助学」の効果的な実践も理論も創出される余地はないのではないだろうか? そういう意味でこの本は、21世紀の実践的研究のあり方に対しても、大きな疑問符と手がかりを与えてくれていると言える。
変わるのは私たちって。。。
★★★☆☆
英書の原題にない副題「変わるのは私たち」は読者をどこに連れて行きたいのだろう?
翻訳者のメッセージ
★★★★★
この本は国際協力にかかわる人の必読書だと思います。翻訳チームはそう感じてコストを抑えるために翻訳料をもらわずボランティアで翻訳作業を行いました。 開発援助にかかわる人の側が持つ問題を鋭くえぐる大変優れた本です。