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葬送〈第1部(上)〉 (新潮文庫)

価格: ¥540
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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フレデリック ★★★★★
ここもう少し徹底して書き込んであるといいのに、ということのない作品。
執拗ともとれる文章が時間と空気を内包しているので乱暴な読み方が出来ません。
当時の暖炉のはぜる匂い、雨の湿り気、夜が闇だった時代のドラクロワの絵にあるほの暗さ。

ごくごくミーハーな気持ちでは「アマデウス」のような映画で観てみたくもある小説。
ショパンを想う ★★★★☆
この作品最後まで(第2部下)まで読みました。4カ月以上かけて少しずつ読みました。私は、ショパンとドラクロワの中で特にショパンに、惹かれるものがありました。ショパンを音楽の解説書などでは味わえない生々しさで描いています。生きていくということは、どんな天才でも大変なことだと思います。
天才の世間的な悩み ★★★☆☆
 この物語の主人公は、ショパンとドラクロワという二人の天才である。しかし私は、ショパンよりもドラクロワについての叙述の方が、作者はずっと力を入れていると感じた。絵画論や歴史観など、この時代をよく調べて書いているので、歴史の本として読んでも面白い。この巻は、まだ物語の助走の段階にすぎないのだが、ショパンが愛人の娘の結婚問題で頭を悩ませており、その天才的な美しい音楽とのギャップがユーモラスである。
今後の日本文学を担う巨星 ★★★★★
作者は本当に、文体の「気高さ」というものを僕に教えてくれる。
ミルトンの「失楽園」やジョイスの「フィネガンズ・ウィエク」、おそらく作者はこれらの作家を深く研究しているだろうが、「月蝕」で見られた「意識した衒い」は最早完全に消え、文体が内容と相互に溶け合って甘美な「藝術文学」を織り成している。

ショパンというと、即座に専門家は懐疑的な批評を始めるが、平野は今回、敢えてそのショパンの美しくも悲哀に満ちた芸術家としての生涯を描こうと決意したのだろう。それはジョルジュ・サンド、ドラクロワといったユニークな人物達と絡み合い、藝術が持つ哲学的思索、俗世を逸した美学理念を僕達に教えてくれる。

見事としか言いようが無いのはその歴史的な背景の丹念な構築。
参考文献だけでもゆうに30冊は越えている。
平野は「日蝕」において華々しく文壇にデビューした。
この混沌とした不条理な世界を生きる僕達にとって、
真に必要な「文学」とは、金原ひとみのような
パトスの野獣化ではないだろう。
何故なら、それは今もう既に僕達の現前に押し寄せているからであり、
自己の再発見以外の妙は得られないからだ。

対して、平野はデビュー当時からそれらとは逸脱した空間に身を置いていた。それは村上龍やバタイユ、サド、ジュネなどが描いた「現実の反映」ではない。その一歩先にある、華麗で思索的な人生の生き方なのである。

僕にとって平野啓一郎とは、常に暴力や不条理、エロスといったものを
「クラシカルに」「先導的」に捉える、文字通りのアーティストに他ならない。今後の活躍にも大いに期待しています。