風土論の焼き直しに過ぎない
★★☆☆☆
風土論は数限りなく書かれてきたがこれはその新版。文明を石の文明、砂の文明、泥の文明に大別したのが目新しい。本書は著者も否定していないが、和辻風土論の焼き直しである。泥の文明というなら高温多雨のインドや東南アジアのモンスーンアジアが本場の筈だが、モンスーンアジアの考察は乏しい。しかしそもそも「泥の文明」とは何なのか?メソポタミアを見れば高温多雨が「泥の文明」の条件でないことはすぐ判る。一方では、石の文明というのにエジプトに一言も触れず、ましてマヤの石の文明などまるで眼中にない。トインビーくらい読んでから著作にかかった方がよいのでは。