亭主関白のなれの果て
★★★★★
暴走老人とは亭主関白で、自分で何かを達成したことがなく、責任感や自主性、自立性に欠け、不都合があると他者に責任を押し付け、思いやりや苦労を知らずに育った日本人のことです。
注意する点は暴走老人=日本人ということです。海外、例えばアメリカでは小さいころから家族や兄弟を大切にし、レディーファーストなど女性を慈しむ心を身につけ、12才になれば親と子供は対等の立場となり、自立性を会得します。そうして老人になったとしても日本人のようにのべつまくなしに他者に当たり散らすといった自立性のないことはしません。
日本人は自主性と自立性を身につけるべきでしょう。
でも日本人の本質は自力ではなく「他力本願」なのですよね。
暴走と言うより病巣では…
★★★☆☆
この本を参考にして、精神科医の和田秀樹氏が専門的立場から『困った老人と上手につきあう方法』というのを書いています。そちらは脳の老化=感情抑制機能の低下から来る高齢者の病理にアプローチし、老人の“暴走行為”の本質を解明してくれています。この本を読まれる方には併読をお薦めします。ですが、どうせセンセーショナルな表題で気を引くのなら、内容自体も暴走的な老人生態の実例を多々掲載してほしかったなと思います。老人の困った逸脱行為の家庭体験を、取材やアンケート等で広く世間から見聞きして具体例の数々を掲載するような体裁であってほしかったです。ただ、高齢者社会に内在する1つの問題点を社会の表面に浮かび上がらせるという点では、この本は意味のあるものだとは思います。機能低下という医療的観点から離れ、“暴走”という言葉だけが1人歩きしてしまわなければですが…
はぐらかされた感じ
★★★☆☆
『暴走老人』というタイトルが気になって買った。身近に遭遇したことはなかったけど、きっと世の中では暴走する老人が増えているんだと思った。団塊の世代が老人になったらもうとんでもない世の中になるのかなと。
ところがである。本書ではあまり老人の暴走については語られていない。「暴走老人」を入り口にして(あるいは切り口にして)、現代社会の様相(キレやすい人が増えた原因)を分析した本といえるだろう。章立ても「時間」「空間」「感情」とまるで社会学の教科書のようだ。では、面白くないのかといえば、それなりに面白いとは思う。ただ、「暴走老人」というキーワードに惹かれて読み始めると、はぐらかされたような印象をもつということ。
本書に引用された朝日新聞のデータによると、日本における犯罪の高齢化は世界でも突出しているようだ。2006年の高齢受刑者の割合は、ドイツが3%、韓国が3.5%、米国が5.4%に対して、日本は12.3%。これは大変な数字だ。その大変な事態にもっと切り込んでほしかった。著者は『運転士』で芥川賞を受賞している作家なのだから、作家の想像力も駆使して読ませる文章を書いてほしかった。
「タイトル買い」したけど……
★★★☆☆
単行本のときから気になっていたのを文庫本が出た機会に買って読んだ。気になっていたのは『暴走老人』というタイトル。身近に遭遇したことはなかったけど、きっと世の中では暴走する老人が増えているんだと思った。団塊の世代が老人になったらもうとんでもない世の中になるのかなと。
ところがである。本書ではあまり老人の暴走については語られていない。「暴走老人」を入り口にして(あるいは切り口にして)、現代社会の様相(キレやすい人が増えた原因)を分析した本といえるだろう。章立ても「時間」「空間」「感情」とまるで社会学の教科書のようだ。では、面白くないのかといえば、それなりに面白いとは思う。ただ、「暴走老人」というキーワードに惹かれて読み始めると、はぐらかされたような印象をもつということ。
本書に引用された朝日新聞のデータによると、日本における犯罪の高齢化は世界でも突出しているようだ。2006年の高齢受刑者の割合は、ドイツが3%、韓国が3.5%、米国が5.4%に対して、日本は12.3%。これは大変な数字だ。その大変な事態にもっと切り込んでほしかった。著者は『運転士』で芥川賞を受賞している作家なのだから、作家の想像力も駆使して読ませる文章を書いてほしかった。
硬派なノンフィクション
★★★★★
本書の単行本が出版されたときに、
気になって読もうと思ったが、
結局読まずじまいに。
文庫版が出版されたので購入。
面白かった。
思っていた以上に(いい意味で)硬い本。
老人問題でもあるし、
日本のサービス業の袋小路現象をえぐったルポにもなっている。
心理学的な分析も含め、
著者は博学な方と感心した。
本書を読み終わって、
高齢者の社会不適応をどう対処するか、
病根は深いと感じた。