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乃木希典 (文春文庫)

価格: ¥480
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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有能 or 有徳 ★★★★☆
私は、指導者にとって必要なのは有徳よりも有能だと思う。特に国家や軍隊においては。

しかし、もし戦死するなら、児玉源太郎よりも乃木希典の部下としての方が納得できる気もする。例えそれが稚拙な作戦のせいだったとしても。

有徳と言うのは有害で危険な魅力なのかもしれないが、徳無き社会と言うのもあり得ないだろう。

本書が何らかの答えを導き出してくれる訳でないが、上記のようなことを考えさせてくれる良書である。

ところで、家長として、夫として、あるいは父親としての徳とは何なのだろうか? その観点からは、乃木希典も有徳の人ではないと思えるのだが、フェミニストの乃木希典論と言うのも読んでみたいものである。
飽くまで観念論に徹している ★★☆☆☆
司馬遼太郎の「坂の上の雲」に描かれた「乃木無能論」に対して
「乃木のような人間が現代に必要である、それは徳義を持とうと努力したから」という。
戦時において無能だったとする司馬と、人間として有徳であったとする福田。

これは語っても相容れない議論になる。
司馬に対抗するためには、旅順攻略において6万人の犠牲を払ったことの正当性を筆する
べきであったし、福田はそれに関しては数行しか割いていない。

乃木が徳義に徹し、そのため明治帝の寵愛をうけたとしても、自らの信念を貫徹するために
6万人もの犠牲者を出したことを正当化できるロジックは構築できない。

あまりにも司馬史観が定着したため、観念的に乃木の精神性のみに着目し汚名をそそぎたい
気持ちは分からないでもないが、観念的過ぎそれを裏付けるエピソードも貧困である。

わたしは、司馬の「坂の上の雲」および「殉死」、そして福田の「乃木希典」を連続して
読んだが、司馬に軍配を上げるを得ない、読んだ順序が先入観としてこべりついていないか
反芻したが、なおもて司馬である。

なかでも、本書の巻末解説は読むに耐えない。
司馬の乃木批判は、乃木に対する「嫉妬」であると曰うている。
これは理解し難く、稚拙な想像力に辟易とする。

がしかし、読んで司馬か福田か比較するには良い本である。
本書だけ読むのは、やめたほうがよい。
乃木の不在を嘆く ★★★★★
本書の主題は、以下の点に尽きる。
" 児玉源太郎(有能な人物)は現代日本にいくらでもいる。
乃木希典(人をそのために死なしめるほどの人格)がいないことが、
現代日本が低迷している要因ではないか "
司馬遼太郎以来、「無能な乃木」と歴史的・軍事的評価が決定付けられた乃木希典を再評価する、スリリングな論考でした。
本当に歴史を変え、後世この国を守るのは、徳なのだ、と。
常に完璧な人格者であることを、自らに義務付けることを選んだ乃木の痛ましさを思うと、福田氏の主張に同調せざるを得ない、なかなかの筆力です。
乃木は昭和天皇が印象深い人物として挙げ続けました。次は福田氏の昭和天皇論を読みたい。

「乃木は次第に、一つの詩のようなものになった。美しいが、人工的で、非現実的なもの。しかし、彼は紛れもない、生身の人間だった。」
テクノロジーの時代に有徳とは ★★★★☆
本書のはじめに、スタンレー・ウォシュバンの「乃木」から一文が引かれている。
 「大きな仕事よりも、寧ろ人格によって、その時世に非常な貢献をする人が三十年に一度か、六十年に一度出現することがある。」

 著者は言う、今の日本に有能な人はいくらでもいる、が、有徳な人はいない。立派な人、風格のある人はいない。そして現在の混迷は有徳な人物がいなくなってしまったからではないのかと。

 本書の独自の視点は、テクノロジーの時代にいかに人徳は可能かという問いにおいて、乃木を見たことだ。乃木のその人生を、近代国民国家となった日本において、国民の奉仕、犠牲を成り立たしめるため、その一身において道義を示さんとした、一生であったと見る点である。
 著者は言う、乃木の徳義とは「それは作為であり、演出だ。だが、だからこそ、つまりそれが自ずからのものではなく、努めたものであるからこそ、畏敬を覚える。」(p16)と。

 しかし、軍人であれば国家国民のために第一に戦争に勝たんとして有能たらんとし、そのような姿勢のうちに徳が示されるのではないか。有徳と有能はテクノロジーの時代にあって対立せざるを得ないものなのだろうか。
 いずれにせよ乃木の進んだ道はもはや軍人としての道ではなかったということだろう。
乃木のイメージを変える書 ★★★★☆
司馬遼太郎の「坂の上の雲」で「愚将」のレッテルがイメージ化された乃木。この本質を、「有徳」というキーワードで解き明かす。実利を追い求め、「徳」の希求を忘れた現代人にとって、乃木の生き様は貴重な警鐘である点をはっきりさせてくれる感銘の書。