可愛いエミリー (新潮文庫) - インターネットデパート

アンよりもリアルで等身大の小説 ★★★★★

「アンシリーズ」が大好きなので、読もう読もうと思いながら手つかずだった「エミリーシリーズ」。
厳しいながらも愛情に溢れた暮らしの中で、突拍子もないことをしでかすしながらも徐々に理想的な女性に育っていくアンに対して、過酷な環境の中で自分の生きる道を自力で切り開いていくエミリー。
モンゴメリの実生活はきっとエミリーで、彼女の夢がアンだったのでは…。
読むと「善良であるべし、いい子であるべし」という気持ちが芽生えるアンもいいけど、少女時代にはエミリーも読んでおけばよかったと思いました。もちろん大人にもオススメです。

文学少女ものの最高作 ★★★★★

生き生きとした女性像を描いて大成功したモンゴメリ。
しかし、自身の人生は、牧師である夫から「書くこと」を反対され続け、
家庭に縛られ、抑圧されたものだったという。
1922年、この物語を書き上げた時のモンゴメリは60代も後半にさしかかっていた。
彼女は「やっと書きたい物を書いた」と心から満足したという。
アンブックスを続けたのは、出版社と世間が、
筆を置くことを許さなかったからだとか、実は嫌々書いていただとか、
そういった逸話はアンのファンには少なからずショックを与えるが、
モンゴメリの心情を理解するために、ぜひこちらも読んで欲しい。
女性の苦悩や、アルプスをのぼる者として味わわざるをえない人生の苦さが、
あまざす描かれている。

しかし、より自伝的でありながら、詩情豊かな世界観は損なわれていない。
タイタニック号沈没のニュースに影響を受けていると思われる描写や、
カナダから女性が一人でNYへ進出するなど、
急速に変化していく時代背景が垣間見えるのだが、
結局エミリーは古い農園を離れない。
美しいもの、良きものを愛することをエリザベス調と言いたければ言えばいい、
モンゴメリはこれを強く主張している。

アンよりも好き ★★★★★

「赤毛のアン」が好きで、それをきっかけにしてエミリーシリーズを知りました。個人的にはエミリーの方が好きです。エミリーの性格や行動力、夢見るようなところに魅力を感じました。
素敵なニュームーンでのほほんと生活しているのではなくて時には苦しんだり、悲しんだり、喜んだりと感情の移り変わりでは自分も引き込まれてしまいます。

それにエミリーの周りの人たちが魅力的です。
イルゼとの友情は深いけど気楽で、けんかするところは愉快でした！

モンゴメリの自伝的小説 ★★★★★