小説?
★★☆☆☆
1989年に出た単行本の文庫化。
「アンドリン村にて」「グラナダにて」「バルセローナにて」の3本の短編小説が収められている。
しかし、これは本当に小説なのか? 「グラナダにて」は、女王フアナの生涯をまとめた説明文、あとの2編は著者のスペインでの日常を描いているのだが、エッセイ・日記である『スペイン断章』や『オリーブの樹の蔭に』の文章と、まったく変わらないような気がするのである。
さらに、以前の日記・エッセイに出てきた人物や出来事が、ほとんど姿を変えずに出てくるから、現実世界と見分けることが出来ない。
そういうところを差し引いて、小説として鑑賞してみても、あまり面白いとは思えなかった。