ロマンティックな子午線
★★★★★
タイトルの散文は、ジャック・レダというフランスの小説家と一緒に、グリニッジ子午線ではなく、パリ子午線上を探して歩くという物語。憧れの人と一緒に地平線上の真北から天頂を通って真南へ至る天球上の仮想的な大円を沿って歩き続けるということは、なんともロマンティックである。その他の2〜5章の散文も、仏の作家をもとにして物語で歩んでいく。いつもながらの美しい日本語によって、そこがフランスのスラム街(郊外)でも魅力的に感じる。わたしがもっとフランス語を知っていたらその音がこの本をよりロマンティックにするんだろうと思ってやまない。