素顔の作家論
★★★★★
かつてベストセラーを次々に出し時代の寵児だった森村誠一さん。どちらかというと取っつきにくいイメージがありましたが、この本を読むと親しみやすい作者の素顔が伝わってきます。
これだけ才能にあふれた人気作家も壁にぶつかり、悩み、苦闘していたことがわかりました。
等身大の作家を知るのに役立ちます。
広く浅い総論 肝は動機の1行
★★★★☆
作家になるための、かなり具体的なことが丁寧に記載されていたが、この本を読んで作家を目指すレベルであれば、先は知れている。この本の肝は、著者がそうであったように、相当な代償を払ってでも、どこまで自由な生き方を渇望できるかということに尽きると思う。志が湧き起こらず、ノウハウの便利さに心浮き立つようであれば、すぐれた読者で満足すべきだろう。
ベストセラー作家の実践的指南書
★★★★★
今や誰もが認めるベストセラー作家の一人、森村誠一氏が書いた「小説道場」です。
「作家の条件」「作家の環境」「作家の人生」として各章に分かれて書かれてある内容には、著者の広い視野からみたそれぞれの重点的要素が含まれていて、これから作家を目指す人にとってはとても参考になることでしょう。
作家はいろいろなタイプに分かれていることや、出版社の性格なども載っており、広い範囲にまたがっての内容に興味が沸きます。
また本書で一番良かったと思われる点は、「作家になるための原体験」という章で著者自身の経験を述べて書かれてあることです。
著者が如何にして作家を志したのか、またその動機や環境など参考になりそうです。
とにかく作家になるためにはいろいろな本を読むことですね。
正統派な作家の作品作り
★★★★☆
著者の読書依存症というべき少年期からの業が、やむにやまれぬ表現欲となり、作品となる魅力に取り付かれ立派な文学中毒者となり作家として大成した、いわば自伝的要素を持って“作家”を現している。
確かにそのような書かずにおられない者の頂点が作家だった時代にはピッタリきた本書だが、そのような意欲を持ち続ける“作家”が、今どのくらいいようかと思わずにはいられない。
取材も充分でなく、自身の身近な題材を取上げ、表面上の悲しさや娯楽性、「泣ける」「共感できる」といった日記の延長の如き小粒な作品が多い昨今、本書は“作家”の事を大袈裟に構え過ぎているのではないかと捉える読者もいよう。
また著者には『悪魔の飽食』シリーズのような自身のみに危険が及ぶ作品もある。
松本清張も作品に社会批判を盛り込んでいたし、高杉良が日産労組を題材にした『労働貴族』を連載時、ホームに電車が入線するまで突き落とされないように階段で待っていたように、そのような部分に触れているか否かは“作家”としての奥行きにも関係する。
現在では企業の知られたく内面を書けば、名誉毀損だとして多額の損害賠償請求を出版社でなく書き手や内部通報者個人に起こされる事が増えているが、そのようなおそれが全く無い、沢木耕太郎に代表される、佐高信評すところの”(危険な場所には足を踏み入れない)“遠足作家が大多数になってしまった事も“作家”のハードルを下げ、作品の質低下に繋がっている。
ほとばしる情熱にのっとって書けば、銭は後からついてくるのであろうが、野次馬読者としては、取材費や税控除、執筆料、印税など銭には全く触れられていないのは物足りなかった。
作家としての折り目正しさを感じる
★★★★☆
旧版の「小説道場」が、加筆・改稿の上、分冊されて発刊されたもの。
あとがきが掲載されているのは「総論」のほうなので、「実践編」が上巻・「総論」が下巻といった感じか。(書籍番号は逆になっているが)
「実践編」のほうは、こちらに感想を書いた。
小説の書き方 小説道場・実践編 (角川oneテーマ21)
「総論」のほうは、読み物として大変面白い。
ひとりの作家が、功成り名遂げるまでの過程には、本人の小説に対する熱意、および出版に情熱を持つ人との巡り会いが、大きく影響していることがよくわかる。森村氏は折り目正しい人で、そのことが作家としての良運を呼び込んだのだろう。
柔らかなブラックユーモアで書かれた「作家のタイプ分類」には、少し、にやりとさせられた。
素顔の作家論
★★★★★
かつてベストセラーを次々に出し時代の寵児だった森村誠一さん。どちらかというと取っつきにくいイメージがありましたが、この本を読むと親しみやすい作者の素顔が伝わってきます。
これだけ才能にあふれた人気作家も壁にぶつかり、悩み、苦闘していたことがわかりました。
等身大の作家を知るのに役立ちます。
広く浅い総論 肝は動機の1行
★★★★☆
作家になるための、かなり具体的なことが丁寧に記載されていたが、この本を読んで作家を目指すレベルであれば、先は知れている。この本の肝は、著者がそうであったように、相当な代償を払ってでも、どこまで自由な生き方を渇望できるかということに尽きると思う。志が湧き起こらず、ノウハウの便利さに心浮き立つようであれば、すぐれた読者で満足すべきだろう。
ベストセラー作家の実践的指南書
★★★★★
今や誰もが認めるベストセラー作家の一人、森村誠一氏が書いた「小説道場」です。
「作家の条件」「作家の環境」「作家の人生」として各章に分かれて書かれてある内容には、著者の広い視野からみたそれぞれの重点的要素が含まれていて、これから作家を目指す人にとってはとても参考になることでしょう。
作家はいろいろなタイプに分かれていることや、出版社の性格なども載っており、広い範囲にまたがっての内容に興味が沸きます。
また本書で一番良かったと思われる点は、「作家になるための原体験」という章で著者自身の経験を述べて書かれてあることです。
著者が如何にして作家を志したのか、またその動機や環境など参考になりそうです。
とにかく作家になるためにはいろいろな本を読むことですね。
正統派な作家の作品作り
★★★★☆
著者の読書依存症というべき少年期からの業が、やむにやまれぬ表現欲となり、作品となる魅力に取り付かれ立派な文学中毒者となり作家として大成した、いわば自伝的要素を持って“作家”を現している。
確かにそのような書かずにおられない者の頂点が作家だった時代にはピッタリきた本書だが、そのような意欲を持ち続ける“作家”が、今どのくらいいようかと思わずにはいられない。
取材も充分でなく、自身の身近な題材を取上げ、表面上の悲しさや娯楽性、「泣ける」「共感できる」といった日記の延長の如き小粒な作品が多い昨今、本書は“作家”の事を大袈裟に構え過ぎているのではないかと捉える読者もいよう。
また著者には『悪魔の飽食』シリーズのような自身のみに危険が及ぶ作品もある。
松本清張も作品に社会批判を盛り込んでいたし、高杉良が日産労組を題材にした『労働貴族』を連載時、ホームに電車が入線するまで突き落とされないように階段で待っていたように、そのような部分に触れているか否かは“作家”としての奥行きにも関係する。
現在では企業の知られたく内面を書けば、名誉毀損だとして多額の損害賠償請求を出版社でなく書き手や内部通報者個人に起こされる事が増えているが、そのようなおそれが全く無い、沢木耕太郎に代表される、佐高信評すところの”(危険な場所には足を踏み入れない)“遠足作家が大多数になってしまった事も“作家”のハードルを下げ、作品の質低下に繋がっている。
ほとばしる情熱にのっとって書けば、銭は後からついてくるのであろうが、野次馬読者としては、取材費や税控除、執筆料、印税など銭には全く触れられていないのは物足りなかった。
作家としての折り目正しさを感じる
★★★★☆
旧版の「小説道場」が、加筆・改稿の上、分冊されて発刊されたもの。
あとがきが掲載されているのは「総論」のほうなので、「実践編」が上巻・「総論」が下巻といった感じか。(書籍番号は逆になっているが)
「実践編」のほうは、こちらに感想を書いた。
小説の書き方 小説道場・実践編 (角川oneテーマ21)
「総論」のほうは、読み物として大変面白い。
ひとりの作家が、功成り名遂げるまでの過程には、本人の小説に対する熱意、および出版に情熱を持つ人との巡り会いが、大きく影響していることがよくわかる。森村氏は折り目正しい人で、そのことが作家としての良運を呼び込んだのだろう。
柔らかなブラックユーモアで書かれた「作家のタイプ分類」には、少し、にやりとさせられた。