三島由紀夫が井原西鶴の『本朝二十不孝』にならって書いたユーモラスな逆説的道徳のすすめ。ウソ、いじめ、忘恩などの悪徳を奨励し、内的欲求を素直に表現することで、近代文明社会が失った健全な精神を取り戻そうとする。そして「自分の内にある原始本能を享楽すること」こそ文明人の最大の楽しみと説く。
人間が本来持つ悪への志向を抑圧するのではなく、陽性の行為に表すことによって悪が沈静化するという主張は人間心理を鋭く見抜いており、既存の常識への抵抗を使命とする芸術家の基本姿勢でもある。結果として、まじめな道徳教育に帰結している本書は、逆説のおもしろみや機知に富んだ文章、作家の素顔をのぞかせるエピソードなどのくすぐりが満載でおもしろおかしく読むことのできる箴言集となっている。1958年の「週刊明星」に連載されたものだが、世界の中の日本を問う三島の国際人的意識は今日的であり、現代の社会を見通す鋭い眼差しにも驚かされる。(林ゆき)
友人を裏切るべし。まさに、そのとおり。
★★★★☆
「友人は裏切るべし」「女には暴力を用いるべし」「人の失敗を笑うべし」などなど・・・三島由紀夫による”不道徳のすすめ”。
昭和42年発行の本だが、現代にも通じるエッセイが満載で面白い。
三島由紀夫というと、美しいけれどちょっと気まじめすぎて難解な文章を書くイメージがあった。
だが、このエッセイはとても読みやすく、また彼のユーモアな一面を知れてイメージが柔らかくなった。
本題の不道徳教育だが、これは一見ギョッとするような命題が多く並べられいてる。
しかし、それは言葉の通りの意味として説かれている訳では全然なく、まず、世間の道徳と離れたようなことを言って読者を驚かせる。
そして、読者にこれこれこうすることで、真の友情が築けるのだ、とか立派な男になるのだ、とか言い聞かせる。
すると、素直な読者は、「ははーん、三島も一理あるな」と新しい観点からものごとを考えるようになる。
では、読み終わった私は今、三島由紀夫を不良に思うかというと、それとは丸っきり逆で、この方はとても良識的でまじめな方だと思った。
だから、この”不道徳のすすめ”は、正直に言って、そこまでショッキングな印象を私に与えていない。
寺山修司の『家出のすすめ』の方が「不道徳」的だったような気がする。
それでも、これはウィットに富んだ面白い本だ。
ただ、そこまで危険(刺激的)ではないので、十代の若者よりも二十代以降の人におすすめ。
実に魅力的な1冊です☆
★★★★★
現代にも通じるウィットとレトリックは、「さすがは世界に認められた文豪」と言っても過言ではありません。
読んでみる価値は十分にありますよ!
不道徳のススメ
★★★★★
世の中における道徳に対する“不道徳のススメ”です。氏のユーモアかつ機知に富んだ人間性を伺えます。達観している人物なのでしょう。
「人生って自動車みたいなものなんだな。止まってれば場所ふざけで、その代わりだが、走っていれば今度はいつ人をひき殺すかわからない」
痴漢を大絶賛するのは大江健三郎も実は同じ すごいな2人のギフテッドは
★★★★★
大江も三島も根っこは同じ
どっちもアンチなスタンスだが
どっちも保守本道
それがわからない香具師はwww
三島由紀夫研究会でも分からんかwww
所詮は研究だもんな
2ちゃんねるやってないでこれを読め。
★★★★★
予言の書でないかというくらい、述べられていることすべてが現代においてそのまま現実になっていて
読んでいて驚愕した。
現在各所であーだこーだーうじうじ言っている人は
このなかのいづれかの文章でなにか答えを見つけられると思う。
それくらい現実的にしかも鋭く、しかも分かりやすい形で、私たちに語っている。