だがここまで日本語の魅力を引き出した本を自分はいままで見たことが無い。正直、「衝撃を受けた」といっても過言では無いだろう。
使用している単語や表現自体は極めて平易といっていい。義務教育を終える頃にはそのほとんどを読み下せるようになっている程度だと思う。
それでいてこれほどの世界を構築し、そこに住む人々の暮らしを描き出せる――ここに松村栄子という作家の力を、そして日本語という言葉の美しさを見た。
ただ、内容的には少々人を選ぶ。純愛小説...とまではいかないが結構なプラトンニックラブっぷりなので、そのあたりが平気な人は読んでみると良い。ちなみに自分は男だが楽しめた。が、友達(男)に貸したところ「こんな趣味があったんな」とのコメント。
「こんな趣味」てどんな趣味?