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未来のイヴ (創元ライブラリ)

価格: ¥1,620
カテゴリ: 文庫
ブランド: 東京創元社
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まさに予言者、素晴らしい! ★★★★★
現代の分裂型自己愛人格障害人間がまかり通るとんでもない社会を予見してますなぁ…。このタイプこそ人間の敵なのに(世界の何処にでもあるバンパイア伝説〜雪女とか〜こーゆー変質者に気をつけろって事ですよね)、今やメインの人々ですもんね…。テレビケータイパソコンが完全にホモサピエンスダメにしました。小説書こうと思ってたけどリラダンが全部書いちゃってるんで止めます。素晴らしいの一言!私の読んだ小説中のベストです。
反俗孤高の寓話、高貴なる古典の調べ ★★★★★
 復刊以来、静かに版を重ねているのは意外にもリラダンファンが多いことを示している。「人造人間の創造」というミステリアスな題材や絢爛たるレトリックに惹かれるのだろうが、その内容は深い思想的考察を核にした一筋縄ではいかぬ寓話である。

 主題は大きくわけてふたつ。まず青年貴族エワルドの純愛を軸とする「理想」の探求だ。女性の美しさとは? 魅力とは?……を起点に、前半、天才科学者エディソンとエワルドが弁証法的対話を展開。人間性の深奥まで踏みこんだ女性論や恋愛論をかわし、また人生観から芸術観、時代認識をまじえるなど、ふたりの会話を通して稀有な美意識や軽やかな機知、反俗精神に満ちあふれたリラダンの内的世界にふれることができる。

 さらに19世紀後半、長足の進歩をとげた科学に対する辛辣な風刺だ。それまでの論議をもとにエディソンはエワルドのために「ハダリー」という理想の人造人間を創るが、「近代科学と天才の華」はいざ誕生してみると、本来の役目をほとんどはたさず船火事で海の藻屑と消える運命に……。

 その完璧な創造物を海底深く葬り去るところに、科学万能社会やブルジョワ的功利主義、物質主義を呪い、冷笑し続けた孤高のリラダンが透かしみえてくる。それは現代への頂門の一針、黙示録的な啓示としてとらえることもできよう。

 「形而上学的芸術作品」と作者が冒頭で説明するように、豊饒なる思想とイメージの奔流には圧倒されるばかり。それも隠喩や象徴表現、逆説的言い回しなどが多く、なかなかの難物だ。

 また、彫琢された言語の神秘と、高貴な精神が織りなす古典の調べは酔わせるものがある。古格な名訳がテクストの生気、機微、風韻をありのまま伝えており、時間があれば熟読してその真髄をあじわいたい。

 
あまりに痛い設定が笑える。 ★★★★★
女としてパーフェクトな肉体を持つけれど心が邪悪な娘さんがいた。
その娘さんの美しい肉体は好きだけれど心は嫌いだ、という青年がいた。

二人は一応付き合っていたが、青年は娘さんの心身の矛盾に耐えられなくなり、
知人である発明王エディソンに対して「僕、自殺してやる〜」と騒ぎ立ててみせる。

エディソンは昔青年に恩を受けたことがあるため、青年を不憫に思い、
「その娘っ子と全く同じ機械人形を仕立ててやるから死なないでおくれ」と止め、
あくまでも死のうとする青年と、それを止めようとする発明王の丁々発止の言い合いが続いてゆき、そして……。


痛すぎる……だが面白い。
ストーリーはシンプルだが、人物の心情描写がねっとりとしていて凄く濃厚。

あと、パーフェクトな人造人間を恋人にすれば現実の人間を恋人にして苦しむ必要がない、
という論理には現代サブカルチャーと非常に近いものがあると思う。

今の世には極めてまれな、正字正假名遣ひの口語が堪能できるのも美點である。
これは失はずに殘しておきたい。
――幻!幻!風子! ★★★★★
かくも悍ましき形而上学的芸術作品たる「未來のイヴ」
私わ冒頭のエディソンの独白部や中盤に於けるハダリ生成云々の類に隠忍しつつも割と
はやいペースで読めたので、読後の壮快感・高揚感ときたら名状し難いものである。
仮名遣いや漢字表記の特殊性については序盤こそ戸惑うものの慣れてさえしまえば、
幻想的な風趣を生み出す要素に成り変わり、外見をも神的なそれへと昇華させる。  
時代の申し子たるリラダンはどのような思いで本作品を生み出せたのか謎だが、
夜の牧歌での大告白、人間辞職宣言のシーケンスに私は熱い情感が滾りつい笑みが零れた。
耽美的な様相に好悪分かれるだろうが、人造人間モノ好きには堪らない内容なので是非一度。
全ての妄想度の高きイデアリスト達へ
アイロニーとパラドックスとイノセンス ★★★★★
イノセンス冒頭のことば。あれはエディソンのことばだったんですね。
旧仮名・正漢字で多少驚くかもしれませんが、読んでいけば慣れます。
トマスさんはどえらいよく喋ります。
この人は女性を毛嫌いしているわけでも、ヘテロではない、というわけでもない。
ただ、やはり男性という、女性とは違う存在なので、どこか異質なものとみなす点もあり、
また、愛する点もある。けれども彼の、女性への愛は、毒をはらんでいた。
結局、『彼女』を殺してしまった。(図らずとも)
と私は思った。
攻殻機動隊 風に言えば、彼はAIを作った訳ではなく、義体のみ作っただけであった。
ただ地下室のハダリーと、地下空間の描写が美しい!!!
読んで悔いなし!