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ジャン・クリストフ 全4冊 (岩波文庫)

価格: ¥4,536
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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シンガーソングライターになるには ★★★★★
たしかジャン・クリストフは、高校生の時、読んだだけで、その後一度も読んでいない。だから細かい話は忘れたが、えらく感動したことだけは覚えている。ベートーベンの人生をほぼ描いていたとかいう話だったが、これはいかにして優秀な音楽家になれるかのハウトゥーものとして、今の若いプロのシンガー(兼ソングライター)に読んで欲しいと思う。最近のプロの若い人の曲や詩を巷で耳にして聴いていると、いかにもこの曲作るのに苦労しましたという痕跡がすぐ発見できるものが多すぎないか?中高年(?)の若い者への嫉妬だけでは説明不十分なものがある。本当にいい曲というのは、ある時、曲の全部がふっと頭に瞬時に浮かぶものなのだ。クリストフのように。あれこれ悩みぬいて一章節から二章節とのたうちまわるのは、クリストフのような人生の充実がなく、心が空虚なせいではないだろうか。ところで、同じことが画家にも言える。17世紀のオランダの画家・フェルメールは、当時、世間の主流となりつつあった光の科学、特に粒子性と波動性といった論議を画題におり込むことに、なにより人生の充実感を味わった人だったのだ。この事実について詳しく知りたかったら、「宇宙に開かれた光の劇場」上野和男・著という本を読むことをお薦めする。人に感動を与える作曲や絵画を描くことは、職人的技術のみではどうしようもない。要はいかにして心を空虚から救い、困難ではあってもクリストフ流の充実を得るかにある。これが難しい。
至高なる感動 ★★★★★
読書家をもって任じてきたが、これほど感動させられた本にはかつて出会ったことがない。
西洋の言葉から日本語に訳すのは無理がある。この作品でも訳のギクシャクした文体に当初はかなり抵抗があった。しかし一度そういううわべを透かして作者の言わんとする内容が見えるようになると、もう完全な虜になってしまった。一言一言、一文一文貪るように読み進んだ。主人公を始めとして、忘れ得ない数多くの人物に遭遇させてもらった。もうとにかく感動、その一語に尽きる。
ロマン・ロランは、技巧においてはプルースト等に及ばないかもしれない、しかしこの作家の力は魂自体の驚くべき清冽さにこそある。その飽くことなき理想追求の姿勢にある。
ジャン・クリストフを生涯の友として、彼から力を得て戦う一人となれたことを嬉しく思う。
モデルはベートベン ★★★★★
ベートベンを神格化しての本ですが、独文学風の成長物語として外せない本です。
ベートベンFanの方には是非一読をお勧めします。

生きるとは ★★★★★
これだけ長大な作品は、短いコメントを付すのに全く適さないと思います。
それでも気に入ったので、無理を承知でこの作品をどのようにとらえたか、記してみましょう。

これはジャン・クリストフという音楽家の一生を描いた作品ですが、意志を持って強く生きるとは、どういうことなのか見事に表現されています。
不屈の精神という決まり文句が、全然空虚でなく、内実を持って心に響いてきます。
そして、我々が生きていくために芸術がどれほどの助け、あるいは励ましになるか知ることもできます。
もしクリストフに音楽がなかったならば、あのように強く生き抜くことは到底不可能であったでしょう。
同じく芸術たる文学を一生懸命読むことによって、これからまだ長く残されている人生を、クリストフのように強く、また、美しく生きうるのではないか、と希望が湧き起こってきます。
こういう本に出会えたのは、幸せでした。