100年前のドイツの「お受験」
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100年前のいわゆる「お受験」をテーマにした話です。
期待を込めて育てられたハンスが、期待を裏切らないために努力をするのですが、そのような動機が長続きするわけもなく・・・。
小学校や中学校で秀才だったのに、その後落ちこぼれていくような人に、誰もが心当たりあると思います。いつの時代も変わりません。
当時のドイツの風景が細かく書かれているので、その辺りも楽しめると思います。
ただ、この本、300ページありますが、最後の50ページくらいは解説なので、まだあると思っていたら突然物語が終了して焦ります。
現代にも通ずる問題を晒した良書
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皆から優等生と言われ、家族のみならず町の期待を背負い、期待に応えるべく努力してきた少年ハンス。純粋の塊であった少年が挫折、失望、戸惑いの中で現実を目の当たりにし、新しい世界に身を置く決意をした矢先の、結末。
200ページあまりの中に様々なエッセンスがつまっていて、切なく悲しい、そして考えさせられるストーリー。おすすめです。
ヘッセの半私小説(前期の代表作)
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著者のヘルマン・ヘッセはドイツの作家で
1946年にノーベル文学賞を受賞しています。
この「車輪の下」(1906年)は彼の前期の作品の代表作ではないでしょうか。
ヘッセ自身も神学校に入りながら、
詩人になる夢を捨てられず途中で抜け出しています。
そういう意味で、「半私小説」と言ってもいいと思います。
彼の前期作品の特徴である牧歌的な描写も豊富なのですが、
それ以上に感じたことは、主人公・少年ハンスの実に純粋な
ものの見方・感じ方が実に完璧に表現されているところです。
「自分も昔、こんな気持を抱いた事があるなぁ」と
読んでいて何度もノスタルジーを感じました。
ヘッセがなぜ、自分の分身であるはずの「元神学生」の話を
悲劇として終わらせたのかは分かりません。
ただ、ひたすら詰め込みの勉強をしてきたハンスが
神学校やその後の生活でいろいろな人に会い、
そしていろいろな経験を通して、勉強では得ることのできない
「人生の難しさゆえのすばらしさ」を学んで行くところなどは、
痛快でさえありました。
しかしながら、そのような「すばらしさ」を理解したとしても、
社会の中で生きていくのは難しい、
というのがヘッセのメッセージだったのでしょうか?
是非とも読んでヘッセのメッセージをお考え下さい。
批判小説
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この物語では子供の立身出世だけしか考えない親と子供の心に無理解で詰め込み教育を行う教師達を痛烈に批判している。
主人公ハンス・ギーベンラートは才能ある前途有望な少年であったが、家が貧乏。そのため神学校に進むが、友人との友情のため成績が下がり、学校に見限られ、やがて死体として川の中で……
何回読んでもあきない本・・・
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タイトルどうり、重く暗い話です。秀才の少年が神学校に入学したが、そこから様々な影響を受け、教育という車輪の下に潰される悲しい話です。主人公ハンスの苦しみを周りの人間はほとんど理解しないところに憤りを覚えましたが、現在でも身近の人間が知らず知らずにこう言った秀才の人間を押し潰しているところはあるんじゃないでしょうか。子供を教育するに当たって読んで損はない本です。自分はこの本は7回以上読みましたが、何回読んでも考えさせられます。中学校のとき初めて読んだこの本、大きくなっても忘れられない一冊です。