聖アントワヌの誘惑 (岩波文庫 赤 538-6)
価格: ¥1,194
フローベールが30年の歳月をかけて完成した、一種の夢幻劇的小説。紀元4世紀頃、テバイス山上にて隠者アントワヌは、一夜の間に精神的生理的抑圧によって見たさまざまな幻影に誘惑されながら、十字架の許を離れず、生命の原理を見出して歓喜する。幻覚の発生様式、当時の風俗習慣など、完璧な美しさと厳密な様式を持つ作品。ミシェル・フーコーが「幻想の図書館」で "図書館は火につつまれている" と記したが、これは書物たちの夢としてのフローベールの『聖アントワーヌの誘惑』を批評する中での一句である。