アシモフ自身が各々の短編の末尾に自ら解説を付けているのが相変わらず楽しいです。私が知る限りでは彼の本職(?)であるSF作品ではそういうことは滅多にしません。これがあくまでも余技だからこそ、このような遊び心が出るわけで、それが結果的にアシモフの人柄に読者を触れさせてくれるという楽しみもあります。
弁護士、画家、数学者、暗号専門家・・・職業も興味もバラバラで、単に親睦を深めるための集まりなのだが・・・・月一度の会合の席で話がミステリアスな事件に及ぶや、各人の推理合戦と化す。そして、何故かいつもあっさりと謎を解いてしまうのは控えめな給仕のヘンリー!
謎解きも面白いが、勝手な推理を展開する面々に対して、見事に解き明かしてしまっても控えめなヘンリーの対比が面白い。しかも事件のバリエーションも豊富。アシモフの推理短編は傑作揃いで、本当に多才な人だと思う。
彼が編者の短編集『16品の殺人メニュー』は、食べ物飲み物を!引用したミステリ集で、こちらも多士済済。
似たものでは、バーテンがヘボ探偵の持ち込む難事件をあっさり解決してしまう「三番館シリーズ」(鮎川哲也)がある。こちらもおすすめ。