エクセレント!
★★★★★
どうしてもジュネの文章依然に、生田耕作の訳文の素晴らしさを称えたくなる。
渋沢、朝吹さんが悪いといいたいわけじゃない。しかしこんな奇怪な小説を大真面目に日本語にしてくださった。
すばらしい、ブラヴォー、としかいいようがないのだ。
で、小説の中身だが、やや他のジュネ作品とは違う香りがする。別に主役(=ジュネ)は悪事に手を染めるわけでもない。ただ淡々と同性愛描写、終戦時の亡き男の恋人への重いが綴られている。
なんてことない、普通の同性愛小説かもしれない。しかしクセあるジュネの文体にうならざるをえない。それを素敵な日本語にしてくれた生田先生もすごい。感謝します。