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ユダヤ人 (岩波新書)

価格: ¥735
カテゴリ: 新書
ブランド: 岩波書店
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ユダヤ人がなぜ嫌われてきたのか、それがよく理解できた! ★★★★★
ユダヤ人というのは、非ユダヤ人によってつくられてきたこと。それがとてもよく理解できる名著です。サルトルは「ユダヤ人問題はわれわれの問題」として論及し、優れた遺伝子をもつ民族が、なぜ迫害されるかについて、さまざまの角度から語り尽くされています。武力を嫌い、なにをされても反撃に出ない。それほどまでに心やさしい民族であるユダヤ人を、なぜ人々はこれほどまでに嫌うのか。ユダヤ人と民主主義。ユダヤ人とは何か、という重要なテーマにより、人間とは何かを考えさせられます。それに対する、納得の答も用意されています。凡庸な人間社会がなぜ、あのホロコーストのような民族浄化に走ることになったのか。考える起点を与えてもらうことができました。
差別意識の底深さ ★★★★☆
 本書は1954年、イスラエル建国から6年が経過した時期に出版されている。そのためか、ここにはパレスチナ問題に関する言及がない。もっぱら国内のユダヤ人問題に焦点を絞り、「反ユダヤ主義」という差別意識が批判されている。第1章はその意識の心理的分析である。なかで興味深いのは、反ユダヤ主義の善悪二元論の「生かさず、殺さず」式の矛盾心理が、今日のキリスト教原理主義がムスリムに抱く心理に酷似している点だ。
 第3章においては、サルトルはユダヤ人を状況的存在と定義する。ユダヤ人は近代国家によって同化を拒否され、キリスト教徒によって迫害された者たちである。そのような状況がユダヤ人を作った、つまりユダヤ人は反ユダヤ主義者によって作られたのだ。一方こうした状況はユダヤ人自身の中に「反ユダヤ主義」を抱え込ませ、アイデンティティの自己否定を醸成した。
 第4章では、サルトルは反ユダヤ主義を「階級闘争のブルジョワ的あらわれ」だとして、その解決は社会主義革命によって果たせるとしている。こうした呼びかけがユダヤ人にどのように受け止められたか不明だが、イスラエル建国にあたってその基礎となった社会主義的共同体キブツの存在を思い合わせると、サルトルには何か期待するところがあったのかもしれない。しかし社会主義も、またイスラエルのあり方も、その希望から大きく離れてしまったことに、いまサルトルはどう思うだろうか。
 ところで私は本書を読みながら、絶えずパレスチナ人のことを考えていた。本書の「ユダヤ人」を「パレスチナ人」に置き換えてみると、その肖像のあまりにも酷似していることに改めて驚ろかされる。しかもパレスチナ人迫害の張本人がユダヤ人であることの意味は何か。差別意識の底深さを考えさせられる。
差別はなくなりませんよ。 ★★★☆☆
趣旨は,ユダヤ人差別の現状への告発。共産主義にのめり込む哲学者らしく,理性的かつ論理的かつ実証的に,ユダヤ人差別がいかに無根拠かを論じている。ユダヤ人のあくどさって,捏造された虚像というのが現在の研究者たちの共通理解のよう。でも,サルトル先生,反差別論=理想的平等論が理念的であり,したがって唯物的ではありえない限り,妥当性は持ちえません。ユダヤ人が誰なんだか,僕の友人にもいるのかどうか,僕はわかりませんし,あんまり気にもなりません。でも,そういや,在日の朝鮮・韓国人に対する差別も似たようなもんだ。在日の奴とは付き合った経験はありますが,だからと言って,僕が理想的反差別論者だということにはならないでしょう。差別はなくなりませんよ。転職先である現職での僕の立場は,ドイツの不法滞在トルコ人とほぼ同じです。石こそぶつけられてはいませんが,同僚諸氏によるパワーハラスメントは強烈です。市場のイドラがいかに強烈か,まざまざと感じられる今日この頃です。(812字)
サルトルがわかる ★★★★☆
難しい本を読むといつのまにか眠ってしまう私ですが
眠らずに読めました。
サルトルはとてもまともな人だと思います。

フランス人の特権意識をこき下ろすところなんか
「サルトルってユダヤ人だったっけ?」と思ってしまうほど
熱がこもっているし、ばっさばっさと切りまくる鋭さです。

民主主義のことも批判してあって、かなり中立性、客観性があります。
ただ、問題に対するはっきりとした解決策を示しているのではなくて、
読者が考えることを刺激しているようです。

私が義務教育を受けたときはサルトルは教科書に出てきませんでしたが、
いじめや同和教育などと根本的に通じる部分があるし、教育の素材としては秀逸なのになあと思います。

文庫本で持ち歩きやすいですし、サルトルなんてちょっとかっこいいので、カフェなんかで読むにはちょうどいいと思います。
汎用性のあるサルトルの差別論 ★★★★☆
 サルトルの文章は常に緊張感に溢れて読者を惹きつける。評論でさえもサスペンス小説のごとく、ハラハラさせてくれる。まさにこの本はハラハラする。
 「ユダヤ人問題はユダヤ人の問題ではなく、われわれの問題だ」ということは今でこそ当然至極なハナシだが、当時西洋においてそのような視点はきわめて独創的であった。しかし「当然のこと」と頭では分かっていても、「どうしてそうなのか?」と自問してみると案外分からないことであったりする。このような問題において過程を知ることは非常に重要なことである。
 そのサルトルの「過程」の考察は驚くべきことに、現代日本の様々な差別問題に対してもいまだ大きな示唆を与える。ここに、ユダヤ人問題とは縁遠い日本人にも読むべき現代的意義があろう。

 余談ながら、この書は「存在と無」の思索の具体的実践例としても興味深く読めます。