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最後の注文 (新潮クレスト・ブックス)

価格: ¥2,415
カテゴリ: 単行本
ブランド: 新潮社
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小説によってのみ遂げられた「ロード・ムーヴィー」 ★★★★★
映画ではなく小説によってのみ遂げることができた「ロード・ムーヴィー」、それが読み終えた後の第一印象でした。
それは、亡くなったジャックの遺灰を撒くために、居酒屋「馬車亭」を出た四人の男が車で海辺の町マーゲイトへ向かうという、作品の基本プロットによるものだけではありません。その行程の中で、様々で些細ながらもそれらの背後にまた別の物語を抱えている事件が起こります。それこそが、私がこの作品から表記のような印象を受けた理由です。
作品中の文章は全て登場人物たちの独白のみからなっており、それらによって登場人物の周辺で起こった出来事や、彼らの感情が語られます。友人、夫婦、父と子、父と娘、古い時代と新しい時代、そのようなさまざまな協同或いは対立する関係が語られますが、同じ出来事、人間関係やそれに付随する感情、そういったものに対する印象は独白者によって異なり、同一のものは決してありません。それは当然のことです。
現実においても人間関係は、突然崩れ去る可能性を秘めた脆いものであり、それゆえにこそ人々はそれらを大切にし、時には喜び、時には失望するのでしょう。さまざまな関係、特に人間におけるそれを、複数の人物の独白によってのみ描き出したこの作品は、『ウォーターランド』のような時間や空間の拡がりを持ってはいませんが、人間の感情の拡がりや深さにおいては、『ウォーターランド』を凌いでいるのではないでしょうか。
この作品が、26年を超えるキャリアを持つ現代英国で最も重要な作家達の一人、邦訳では新刊で二作品と古書で一作品しか読むことを許されていない作家による傑作であることは間違いありません。
友よ、聞いてくれるだろうか。 ★★★★☆
息子ヴィンスのくそじじいどもというように
老人の言いたい放題の昔話に付き合う感じではある。
人間関係は、どこでも複雑で、めんどくさくて、
しょうがないけれど、
それでも、死んだ友の遺言を果たしてくれる
そんな友人を持ちたいと思わせる作品。
達者でな!と… ★★★★★
主人公ジャックは、すでに居ない。彼は、飲み仲間のど真ん中の骨壷に灰となって登場する。彼の遺言は、「おれが死んだら、マーゲイトからまいてくれ」だった。
運転手は、義理の息子:ヴァンス、自動車屋を営む彼はベンツを用意した。同行する三人は、保険屋のレイ・八百屋のレイニー、そして葬儀屋のヴィックだ。4人はそれぞれの思いで、マーゲイトに向かう。
車中それぞれに彼への思いに耽る。また、文中には、同乗しなかった妻のエイミーやヴァンスの妻の思いも語られる。さらに、登場人物間の痴話話は、物語の厚みを増す役割を果たしている。
では、いったい「…、マーゲイト…」と言ったのであろうか?私は、「オレ(ジャック・トッズ)が死んでも仲良くな、みんな達者で暮らせよ!」と言いたかったと思う。だからこそ、マーゲイトまでの時間と空間を皆に呼びかけたのでしょう。行かずに留まった女性陣にも同様ように…。憎っくいね!

名もない肉屋の親父:ジャック・トッズは、彼らのヒーローであった。