サン・テグジュペリを『星の王子さま』の作者としてだけ記憶するのはもったいない
★★★★☆
本シリーズはこういう物語をきちんと翻案した作品が圧倒的に優れている。
当たり前である。原作は世界的に評価の定まった構成も文章もしっかりした名作ばかりだから。
あとはどこを要約するか、どんな絵にするか、ネームにどう工夫をこらすか、そのあたりが勝負だろう。
本作ではそれが幸運にも成功した。
『夜間飛行』は、フランス人のパイロットで小説家であるアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリによる小説である。
自身の経験を活かしたリアリティあふれる空の旅。ロマンチックな名前とは裏腹に危険きわまりない夜間飛行。そこで発揮される勇気。
そして、アンデスの嵐、パラグアイの星座、パタゴニアの暴風との闘い。限りない上昇感。そのあたりが読みどころである。
サン・テグジュペリを『星の王子さま』の作者としてだけ記憶するのはもったいない。
このまんは、サン・テグジュペリのスタートとなるには充分である。
飛行機野郎の「プロジェクトX」
★★★★☆
パタゴニアとブエノスアイレスを結ぶ航空郵便事業を営む会社の、厳格で非情に振舞う社長、命を掛けて飛行に臨むパイロット、情を捨てきれない職員などを描いた物語。いわば、飛行機が生まれてから僅か20〜30年で一気に発達した時代を自らの犠牲をいとわず支えた男達のプロジェクト]。
パタゴニアという所は、南半球の最果てで、今でもなお突風、濃霧、磁気嵐などが多発して航空機が危険にさらされる危険な土地。そんなパタゴニアとの通信を途絶えさせないため、自らの危険を顧みず飛行に挑む男達の生き様が胸を打つ。カネの為だけじゃない、自分の幸福の為だけじゃない、この仕事は絶対に誰かがやらなければならないんだ・・・と危険に挑む姿と、「そんなにしてまでやる必要があるのか、無理なんてしなくていいじゃないか」と問う声は、きっと、仕事という物を考える上で誰もが心の中で繰り返す感情なのでは。
原作者のサン・テグジュペリ自身もフランス海軍の飛行隊に属し、第二次大戦時には後方勤務を断って前線を希望し、偵察飛行中に通信を絶った(ナチスドイツに撃墜されたと言われる)。
「まんがで読破」シリーズ内では結構マイナーなほうに分類され、原典を読む方も少ない(てか、翻訳の関係で読みづらい)と思われるので、お勧めしたい一冊。
夜間飛行とは、こんなお話
★★★★☆
サン・テグジュペリという日本人には発音しずらい作者のこの本は、ラジオでも朗読されていた。漫画とはいえ一読して驚く。主役が何人もいるし、結末は余韻を持たせてあって、想像の余地や教訓を残すからだ。あらゆる犠牲を甘受しても信念を貫くという昔の男の意識が伝わる。画は、個性的であり好みが分かれるが、古いプロペラ機の舞台に合っているだろう。つまり、スカイクロラのように現代〜未来風ではないということである。
う〜ん・・・
★☆☆☆☆
ここでの評判が良かったので、買ってみましたが
正直、う〜ん・・・・・です。
僕には、
ある飛行士がいました。
ある整備士がいました。
ある航空郵便会社社長がいました。
ある記者がいました。
それぞれ、いろいろありました。
ハイっ終わり。
という風に感じました。
どこに盛り上がりがあるのかが、よく分からなかった。
あと、所々で人生の教訓みたいな事を誰かが言う時
絵がアップになるのが説教じみていて、とても嫌でした。
原作を読んでおもしろく感じた人には買う価値はあるかもしれません・・・
やっと読破
★★★★☆
高校時代、堀口大学の難解な訳に途中で挫折。その後手に取ることもなかったが、今回まんがになって初めて読破。この歳になって読むと、やはり時代の勢いというものを感じる。命を懸けるに値する仕事であると信じれる力、それを持ちうる精神のみずみずしさ。
原作を読むことはないだろう、漫画化に感謝する。